立体積層チップはいかにして成功したか - ナゾロジー

立体積層チップはいかにして成功したか
立体積層チップはいかにして成功したか 図は、研究チームが開発した新しい半導体チップの構造を示しています。一般的な半導体チップは、シリコンなどの材料を使って作られたトランジスタ(電子の流れをオン・オフする部品)が平面上にぎっしり並んだ構造をしています。しかし今回のチップは、「縦方向」に材料を何層も重ねることで立体的に作られている点が最大の特徴です。 具体的には、このチップは全部で6段に分かれていて、それぞれの段に無機の半導体(酸化インジウムという透明で導電性のある材料)と有機の半導体(C16IDT-BTというプラスチックに似た高性能な材料)を交互に配置しています。つまり、層ごとに性質の違う材料が交互に重ねられているのです。 また各段の間には「絶縁層(電気を通さない層)」が設けられていて、上と下の段の間で電気的な干渉(余計な電流の漏れ)が起きないようにしています。この絶縁層は非常に薄く、200ナノメートル(1ミリの5000分の1)という精密さで作られています。 さらに、この図の重要なポイントは、それぞれの段にあるトランジスタが非常にきれいに積み重なっていることです。トランジスタ同士の位置がズレたり、層と層の境目がデコボコしていたりすると性能が下がってしまいますが、このチップは表面を非常になめらかにする工夫がされていて、きちんと整列して積み上げられていることがわかります。 このようにして完成した「縦方向に積み重なったチップ」は、横方向に広がった従来型のチップに比べて、配線が短く、より効率的に電気が流れます。その結果、省エネルギー性に非常に優れているのです。/Credit:Three-dimensional integrated hybrid complementary circuits for large-area electronics

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