AIが「疑わしい」と判定した学術雑誌の実態 - ナゾロジー

AIが「疑わしい」と判定した学術雑誌の実態
AIが「疑わしい」と判定した学術雑誌の実態 まず左上(A)は、AIが「疑わしい」と判定した雑誌群(1,437誌)が、毎年どのくらいの論文を発表しているかを示す折れ線グラフです。2000年ごろから始まり、年を追うごとに発行論文数が増えていき、2019~2020年に一度減少していますが、それ以降もかなりの数が出続けていることが分かります。ここで注目すべきは、「怪しい雑誌」と呼ばれていても、実際に発表されている論文の数が無視できない規模だという点です。 次に右上(B)は、それらの“疑わしい雑誌”に掲載された論文が、他の論文からどれくらい引用されているかの合計を年ごとに表しています。こちらも年々増加しており、“あやしい雑誌”の論文が他の研究論文にも影響を与えていることがうかがえます。つまり、質の低い雑誌の論文であっても、科学のネットワークの中で無視できない存在感を持っているということです。 左下(C)は、アメリカの主要な研究資金提供団体(NIH=アメリカ国立衛生研究所など)の助成金で行われた研究が、どれだけ“疑わしい雑誌”で発表されているかを割合で示した棒グラフです。いずれの団体でも、0.1%前後の論文がこうした雑誌で報告されていることが示されています。つまり、「本物の研究費」から生まれた研究も一部が“怪しい雑誌”に流れてしまっていることを意味します。 そして右下(D)は、国ごとに“疑わしい雑誌”で発表された論文の割合を地図や棒グラフで示しています。インドやイラン、中国、ブラジル、ロシアなどの新興国でその割合が高いことが分かり、逆にアメリカやヨーロッパなどでは低い傾向にあります。これは、研究費や指導体制が手厚くない国で“怪しい雑誌”が広がりやすいという、論文本文での考察を裏付けるデータになっています。Credit:Han Zhuang et al . Science Advances 2025

AI・人工知能のニュースartificial-intelligence news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!