アンバーグリスはどうやって作られるのか
アンバーグリスは、英名で「クジラの嘔吐物」と表現されますが、厳密には「嘔吐物」ではありません。
理由は、その生成の仕方にあります。
まず前提として、アンバーグリスを作るのは、マッコウクジラのみです。
(マッコウクジラは絶滅危惧種に指定されており、それもアンバーグリスの希少価値を高くしている理由の一つ)
マッコウクジラは、食物をよく消化するために(反芻)、胃を4つ持っています。
彼らは通常、イカやコウイカを好物とし、それらは消化されながら胃から胃へと移動します。
その過程で、イカの鋭く硬いクチバシや他の未消化の廃棄物が密集した塊となり、クジラの胃の粘膜を刺激します。
この時、クジラは未消化の塊を海に吐き出すことがありますが、これはアンバーグリスではありません。ただのゲ○です。
話を戻して、未消化の塊がクジラの腸内に入ったとき、そこで分泌されるワックス状の物質が塊を包み込み、腸の粘膜を保護します。
このワックス状の物質は、胆管からの消化液であるアンブレイン(芳香性の物質)と糞の混合物です。
そして、ワックスに包まれた塊が大きくなるにつれ、腸管に沿って移動し、直腸を塞ぐようになります。
すると、塊がどんどん溜まっていって結石化。こうしてできるのが、アンバーグリスです。
アンバーグリスは、大量のウンチとともに排泄されるか、あるいは、アンバーグリスがダムのような働きをし、その後ろに大量に便を溜め込んだ結果、クジラの直腸が裂けることで放出されます。
つまり、アンバーグリスは、マッコウクジラのウンチか死をもって生み出される代物なのです。
アンバーグリスは、水より比重が軽いため、海面を浮遊するか、海岸まで流れ着くことで発見されます。
要するに、ほとんどが偶然でしか入手できないため、希少価値が非常に高くなっているのです。