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ボスラゴナス・スワニ/ Credit: en.wikipedia
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頭に穴がある奇妙な魚、音を出す「天然ドラム」の可能性

2026.02.04 22:00:54 Wednesday

頭頂部の真ん中に、ぽっかりと深い穴が空いている奇妙な魚。

その魚の名前は「ボスラゴナス・スワニ(Bothragonus swanii)」といいます。

近年の詳細なCT解析によって、この「謎の穴」が、音や振動を生み出す装置として機能している可能性が浮かび上がってきました。

Scientist Finds Built-In Drum in Head of Weird-Looking Fish https://www.sci.news/biology/rockhead-poacher-fish-cranial-pit-14481.html LSU Scientist: Oddball Armored Fish May Be the Ocean’s Most Proficient Percussionist https://www.lsu.edu/blog/2025/12/geldof-rockhead-poacher.php

頭骨中央に空いた「正体不明の穴」

ボスラゴナス・スワニは、トクビレ科(Agonidae)に属する全長10センチ未満の小さな魚です。

アラスカからカリフォルニア沿岸にかけての東部太平洋に分布し、波の荒い潮間帯や浅い岩礁域で暮らしています。

この魚が注目されてきた最大の理由は、頭骨の中央に存在する大きな空洞です。

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ボスラゴナス・スワニ/ Credit: en.wikipedia

その大きさは脳とほぼ同程度で、椀状に深くえぐれたような形をしています。

この構造は1876年の記載当初から知られていましたが、機能については長らく分かっていませんでした。

岩場に紛れるためのカモフラージュ、聴覚や感覚を高める器官など、さまざまな仮説が提案されてきましたが、決定的な証拠は得られていなかったのです。

骨が「バチ」になる天然ドラム仮説

この謎に新たな視点を与えたのが、米ルイジアナ州立大学の研究チームです。

チームは高解像度のマイクロCTスキャンを用いて、魚を解剖せずに内部構造を三次元的に解析。

その結果、頭骨の穴のすぐ近くに、非常に特徴的な肋骨構造があることが明らかになりました。

【頭蓋骨のスキャン画像がこちら】

最前部の肋骨は、通常よりも大きく平たく、背骨に直接固定されておらず、筋肉と腱によって可動する構造をしています。

その位置関係は、まるで頭骨内の空洞に向かって動く「バチ」のようです。

チームは、これらの肋骨が振動することで、頭骨の空洞に共鳴を起こし、低周波の振動を生み出す可能性を指摘しました。

いわば、魚の頭の中に「打楽器」が組み込まれているという仮説です。

特に重要なのは、この魚が暮らす環境です。

潮間帯は波の衝突音や環境音が激しく、水中音によるコミュニケーションが極めて困難です。

そのため、水ではなく、岩や地面を通じた振動の方が、より確実に伝わる可能性があります。

さらなる解析では、運動や振動を感知する後側線神経の枝が、この空洞内部に入り込んでいることも確認されました。

このことから、頭骨の穴は音を出すだけでなく、振動を感知する感覚器官としても機能している可能性が示唆されています。

【頭蓋骨の画像がこちら】

もっとも、この魚が実際に振動を発生させている様子や、その音を記録した直接的な証拠は、現時点では得られていません。

今回の研究は、あくまで解剖学的構造に基づいた仮説段階にあります。

それでも、100年以上にわたって正体不明だった「頭の穴」に、明確な役割の可能性が示された意義は小さくありません。

静かな海底ではなく、騒がしい岩場で生きるために進化した、極めて特殊なコミュニケーション装置かもしれないのです。

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