歯はどこから生じているのか?
歯はどこから生じているのか? / Credit:It’s Okay To Be Smart
biology

なぜヒトの歯は一度生え変わるのか?

2020.12.08 Tuesday

歯は骨と同様に人間の中でも特に硬い組織です。

しかし歯には、骨に無い「1度だけ生え変わる」という特殊な性質があります。

また乳児は生まれた時点で既にほとんどの骨を持っていますが、歯は生後3~9か月でようやく生え始めます。

永久歯に限っては、生まれて6年ほど経ってからようやく生え変わるのではないでしょうか。

つまりある程度成長した人間の「柔らかい内部から、硬い組織が生み出されている」のです。

今回は特殊な器官である歯が作り出されるタイミングや仕組みを解説します!

It’s Okay To Be Smart https://www.youtube.com/watch?v=lNrVVHzJOSc&feature=emb_logo , SciShow https://www.youtube.com/watch?v=4wFlmOMFOaU

乳歯を作る幹細胞は母体の中の段階で働いていた?

最初に乳歯がどのようにして作られるのか考えてみましょう。

受精卵となってから3週間が経つと、平らで小さな円盤型の細胞に成長します。

受精卵が成長すると幹細胞に囲まれたチューブを形成する
受精卵が成長すると幹細胞に囲まれたチューブを形成する / Credit:It’s Okay To Be Smart

この円盤から形成されたチューブは重要な幹細胞に囲まれており、それぞれが脊髄や脳、中耳の骨、心臓、歯などを作ります。

そして約6~8週間で、これら幹細胞の小さなグループが歯茎の下にこぶを形成し、変容を遂げていくのです。

そのうちのあるものは象牙芽細胞(ぞうげがさいぼう)となり、歯の主体を成す硬組織「象牙質(ぞうげしつ)」を形成していきます。

幹細胞がエナメル芽細胞を作り出す
幹細胞がエナメル芽細胞を作り出す / Credit:It’s Okay To Be Smart

また別の細胞はエナメル芽細胞(英: ameloblasts)になります。これは歯の外側の硬い層「エナメル質」を作る細胞です。

エナメル芽細胞は化学物質の混合物を分泌し、それを固めて結晶を作ります。

エナメル質芽細胞は上方に移動しつつ、結晶を形成
エナメル質芽細胞は上方に移動しつつ、結晶を形成 / Credit:It’s Okay To Be Smart

その後、上方に移動し、再度同じ工程を実行。これを繰り返すことにより、エナメル芽細胞は長い結晶棒を形成し最終的には死にます。

何百万本もの結晶棒によって歯のエナメル質層が形成される
何百万本もの結晶棒によって歯のエナメル質層が形成される / Credit:It’s Okay To Be Smart

そして何百万本もの結晶棒が歯のエナメル質層を構成。

乳歯のエナメル質加工がすべて完了することで、乳歯が歯茎から顔を出すようになります。

つまり生後3ヵ月ほどで発見できる乳歯は、実は他の重要な器官と同じように胎児の段階で作られていたのです。

次ページ乳歯と同じプロセスを5年以上重ねて強化したのが永久歯

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

生物学のニュースbiology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!