乳歯と同じプロセスを5年以上重ねて強化したのが永久歯
続いて、永久歯がどのようにして生まれるか考えてみましょう。
歯茎の中から乳歯が抜け出すと、元の空間が空っぽになります。
そしてこの時点で乳歯を生み出した幹細胞はまだ生きています。
そのため、幹細胞は新たな歯つまり永久歯を乳歯と同じプロセスで作り始めるのです。
つまり幹細胞は基本的に同じプロセスを繰り返しているだけであり、乳歯が生え始めたころには既に永久歯が作られています。
しかし、永久歯と乳歯には大きな違いもあります。その1つが硬度です。
乳歯は生後すばやく生えるという利点をもっていますが、その分、象牙質とエナメル質の厚みが永久歯の半分ほどしかありません。そのため、栄養価の高い固形食を効率的に摂取するためには不利なのです。
そこで硬く頑丈な永久歯が必要になります。
永久歯は分厚く大きいため、その生成には5年以上の年月が必要ですが、ケアを欠かさなければ一生使用できます。
当然、胎児の段階でいきなり永久歯を作ろうとするなら期間が足らず、少なくとも5歳まで歯がない状態で過ごさなければいけないでしょう。
また、顎の大きさも成長しきっていないので、すべての永久歯を幼児の時からそろえることは不可能です。
つまり、そもそも人間は幹細胞が歯生成プロセスを繰り返すことを前提として乳歯を保持しており、その乳歯は頑丈な歯を生成する間の一時的な代役だったのです。