徹夜すると脳が「起きたまま睡眠モード」に入り、集中力と引き換えに自分を洗い始める
徹夜すると脳が「起きたまま睡眠モード」に入り、集中力と引き換えに自分を洗い始める / Credit:Canva
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徹夜すると脳が「起きたまま睡眠モード」に入り、集中力と引き換えに自分を洗い始める

2026.01.30 20:00:55 Friday

アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で行われた研究によって、徹夜明けの「ぼんやり瞬間」には、脳のまわりを流れる透明な水のような液体(脳脊髄液)が、大きな波になってドクンと押し出され、ふだんは眠っているときにしか見ないような「睡眠っぽい動き」をしていることが分かってきました。

この波は、脳の中にたまったいらない物質を外へ運び出す「お掃除」に関わっていると考えられており、眠らずにいると、起きているあいだにそのお掃除モードが少しだけ顔を出し、その間だけ注意力がガクッと落ちて、簡単な合図さえ見逃してしまう瞬間が増えるようなのです。

しかし、なぜ脳脊髄液の流れが、意識をフッと遠のかせてしまうのでしょうか?

研究内容の詳細は2025年10月29日に『Nature Neuroscience』にて発表されました。

Attentional failures after sleep deprivation are locked to joint neurovascular, pupil and cerebrospinal fluid flow dynamics https://doi.org/10.1038/s41593-025-02098-8

どうして寝不足」で注意が崩れるのか

どうして寝不足」で注意が崩れるのか
どうして寝不足」で注意が崩れるのか / Credit:Canva

誰もが経験することですが、睡眠不足の翌日は集中力が続かず、授業中や会議中につい意識が飛んでしまうことがあります。

たった一夜の睡眠不足でさえ認知機能の低下を招き、簡単な合図に反応できなくなる「注意力の失敗」が起こります。

例えば車の運転中に一瞬ウトウトしてしまうと、命に関わる重大な事故につながる危険があります。

それほど危険だと分かっていても、私たちのはどんな状況でも眠らずにはいられないようにプログラムされているようです。

クラゲも人間のように昼寝をする――睡眠の起源は「脳のため」ではない?

実際、睡眠不足になると脳全体の活動に大きな変化が現れ、動物実験では脳の一部に睡眠時のような波(ゆっくりした脳波)が出ることさえ確認されています。

ですが「不注意になるその一瞬に、脳と身体の中で実際に何が起きているのか」は、これまではっきりとは分かっていませんでした。

ただ、この謎に近づくためのヒントはいくつかありました。

そのうちの一つが「睡眠中の脳のお掃除」です。

脳は眠っている間に脳脊髄液という液体を、大きく脈打つ波のように循環させ、日中に溜まった老廃物を洗い流していると考えられています。

2019年の研究では、この脳脊髄液の波が眠りの深さに合わせて規則正しく出入りしていることが報告されました。

では、もし眠るはずの時間に眠れなかったら、この「脳のお掃除プロセス」はどうなってしまうのでしょうか。

睡眠不足のときでも脳は休息を求めており、もしかすると起きている最中にこっそり“睡眠まがい”の動作を挿入しているのかもしれません。

そこで今回、研究者たちは「徹夜明けの人の脳で、注意力が切れた瞬間にどんな現象が起きているか」を詳しく調べました。

本当に起きている最中に、脳が勝手に「昼のメンテナンス」を始めてしまうことなどあるのでしょうか。

次ページ睡眠不足でフッと意識が飛ぶとき、脳の中で何が起きているのか──MITの徹夜実験

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