石の鎧をまとったアリがいる

二酸化炭素という言葉を聞くと、多くの人は「温暖化の原因」「減らさなければならない悪者」というイメージを持つと思います。
しかし地球全体で見ると、二酸化炭素は長い時間をかけて岩石の中に閉じこめられ、むしろ気候を安定させてきた重要なしくみの一部でもあると考えられています。
地球にある炭素の多くは、石灰岩やドロマイトなどの「炭酸塩の岩」という形で、何百万年ものあいだ眠っているのです。
一方、植物や動物の体に入った炭素は、呼吸や腐敗によって数日から数百年ほどで空気に戻っていきます。
これはいわば「短期預金」の炭素であり、岩石としてたくわえられた炭素は「超長期の定期預金」のような存在です。
二酸化炭素を石の形に変えてしまうことは、地球規模ではこうした長期預金を増やすことにつながります。
そのため、最近では人間の社会でも「二酸化炭素を石にして閉じこめる技術」が気候変動対策として研究されています。
生き物の世界でも、サンゴや貝が炭酸カルシウムから殻や骨格を作るなど、「からだの中で石を作る技術」がいくつも知られています。
その中でも数年前、大きな注目を集めたのが葉切りアリの一種です。
このアリの働きアリは、高い割合のマグネシウムをふくむ炭酸カルシウムの層を外骨格の外側にまとい、そのおかげで他のアリとの戦いや病原菌との闘いで有利になることが報告されました。
今回の主役、セリコミルメックス・アマビリスも同じ「菌類栽培アリ」の仲間です。
彼らは葉や花びらをせっせと運び、地下の巣でキノコのような菌を育て、その菌を主食として暮らしています。
巣は粘土質の土の中に連なった部屋からなり、換気がよくありません。
そのため、多くのアリと菌が呼吸することで二酸化炭素がたまりやすく、ときには生き物にとって有害なレベルに近づくと考えられています。
研究者たちは以前から、このアリの体表が白っぽく見えることに気づいていました。
X線を使って内部を三次元的にのぞくと、外骨格のさらに外側に、密度の高い薄い層がほぼ全身をおおっていることが分かりました。
しかし、その石の層がどこから炭素を得ているのか、葉切りアリのように細菌の助けを借りているのかどうかは分かっていませんでした。
そこで今回研究者たちは、「セリコミルメックス・アマビリスの外側にある石の層の炭素は、巣の空気中の二酸化炭素に由来しているのか」「地下の巣の空気が本当にそのまま鎧にリサイクルされているのか」を確かめることを目的としました。
とくに、小さなコロニーに特別な印を付けた二酸化炭素をふくむ空気を送りこみ、その印が時間とともにどこへたまっていくのかをていねいに追いかけることで、その流れをとらえようとしました。
本当に、地下の巣の空気にふくまれる二酸化炭素が、アリの体の上で「石のよろい」へと姿を変えるようなことが起きているのでしょうか。





























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