釣り上げられた姿しか知られていなかった深海ザメ
ミツクリザメは、1898年に日本近海で初めて知られるようになった深海性のサメです。
現在では大西洋、インド洋、太平洋に広く分布すると考えられていますが、その実態は謎に包まれています。
理由は単純で、彼らが暮らす場所が人間の目の届きにくい深海だからです。
特にミツクリザメは個体数が少なく、めったに観察されません。
そのため研究者たちは長い間、海面に引き上げられた個体や、標本、偶然の漁獲記録から生態を推測するしかありませんでした。
そんなミツクリザメの最大の特徴が、顔の前方へ飛び出すあごです。
普段のあごは頭部に引っ込んでいますが、獲物を捕らえる瞬間には、パチンコのように前へせり出します。
この動きは「スリングショット摂食」と呼ばれ、あごは秒速およそ3.1メートルという速さで飛び出すとされています。

泳ぎそのものは速くなくても、最後の一撃だけを高速化することで、深海の暗闇で獲物を捕らえていると考えられます。
ただし、今回の研究で撮影されたのは、自然環境中で泳ぐミツクリザメの姿です。
深海で獲物を捕らえる瞬間が新たに撮影されたわけではありません。
今回の重要性は、これまで「釣り上げられた姿」から想像するしかなかったサメを、ついに本来のすみかで確認できた点にあります。
そしてこの発見は、ミツクリザメがどこに暮らしているのかという地図も大きく塗り替えるものでした。




























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