「安全行動」の具体的な行動例とは?
アメリカ精神医学会(APA)によると、社会不安障害(SAD)は「他者から詮索される可能性のある社会的場面において、否定的に評価されることへ過度な不安を持つこと」と定義されています。
たとえば、人前でのスピーチや会食、電話での会話、他人の視線への恐怖です。
こうした場面でSADの人々は「失敗したらどうしよう」「嫌われたくない」「変なヤツだと思われたら」と不安を募らせてしまうのです。
そこでSADの人々は、こうした不安を事前に防ぐために心理的な「安全行動」を取ることがあります。
具体的な行動例としては、以下のものが挙げられます。
・話すことをカンペや紙に書き出し、事前にリハーサルする
・出来るだけ目立たないよう、人や物陰に隠れる
・相手と視線を合わせない
・自分からはほとんど話をしない
・食べる姿を見られたくないから人前では食べない
・余裕を持っているかのように振るまう

これらの安全行動により、一時的に不安を和らげたり、失敗を防いだりできますが、これが癖になると安全行動が止められなくなり、長期的には社会不安を長引かせる原因となってしまいます。
そこで研究チームは2022年に、SAD患者の安全行動がコミュニケーション相手からどのように認識され、どんな評価につながるかを調べることにしました。