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「ある音」に注意しながら自然の中を歩くと、幸福度がより高まる / Credit:Canva
psychology

“ある音”に注意して自然の中を歩くと幸福度はさらに向上する

2026.01.26 06:30:46 Monday

自然の中を歩くだけでも、私たちは爽やかな気分になり、心が落ち着くものです。

では、こうした効果をさらに高める方法はあるのでしょうか。

ドイツのエーベルハルト・カールス大学テュービンゲン(Eberhard Karl University of Tübingen)の研究チームは、自然環境の中でもとくに「鳥の声に注意を向けること」が、人の幸福度にどのような影響を与えるのかを詳しく調べました。

この研究成果は、2025年7月22日付の『Landscape and Urban Planning』に掲載されています。

Paying attention to birdsong while walking in nature can boost wellbeing, my research shows https://theconversation.com/paying-attention-to-birdsong-while-walking-in-nature-can-boost-wellbeing-my-research-shows-273165
Effects of nature experience on mental well-being and physiological stress parameters in an experimental bird walk setting – the role of bird song https://doi.org/10.1016/j.landurbplan.2025.105456

自然を歩くと幸福度が高まるが、鳥の鳴き声に注意することでその効果がさらに向上する

自然環境が人の心身に良い影響を与えることは、これまでの研究で繰り返し示されてきました。

緑の中を歩くと気分が改善し、ストレスホルモンが低下することも知られています。

そして、「鳥の存在」も注目されてきました。

鳥のさえずりは自然音の代表的な要素であり、「鳥が多い環境ほど気分が良い」「鳥の多様性が高い場所ほど回復感が高い」といった関連が報告されてきました。

しかし、その詳細はよく分かっていませんでした。

「鳥の種類や数そのもの」が大切なのか、それとも「人が意識的に自然へ注意を向けていること」が大切なのか、これまで明確に切り分けられていなかったのです。

そこで研究チームはこの疑問を検証するため、233人の参加者にテュービンゲン大学の植物園を約30分間、自由に散策してもらいました。

散策の前後には、気分や回復感などを問う心理アンケートとともに、血圧と心拍数、そして唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)が測定しています。

参加者はランダムに5つのグループに分けられました。

一部のグループではスピーカーで追加の鳥のさえずりが流され、別のグループでは自然の鳥の声のみを聞きました。

さらに、それぞれの条件で「鳥の声に注意してください」と促される場合と、特に指示を与えない場合が設定されました。

対照群として、ノイズキャンセリングヘッドホンを装着して歩くグループも用意されました。

こうした実験の結果、すべてのグループで共通して、自然の中を歩くことで血圧や心拍数が低下し、唾液中コルチゾールも平均で約33%減少すると分かりました。

また、主観的な気分や回復感も、散策後には一貫して向上していました。

そして、重要な違いも生じました。

鳥の声に意識的に注意を向けるよう促されたグループでは、「自然を味わった」という実感が強くなり、それにともなってポジティブな気分の変化もより大きく報告されたのです。

一方で、スピーカーによって鳥の声を人工的に増やしただけのグループでは、心理的・生理的な改善が特別に強まることはありませんでした。

なぜこうした違いが生じたのでしょうか。次項でより詳しく見ていきます。

次ページ「鳥の声」を増やすのではなく、「意識を向ける」ことが大切

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