海底を覆っていた1036個の「活動中の巣」
研究チームが分析したのは、2019年のウェッデル海探査で、遠隔操作無人探査機「Lassie」が撮影した、合計27時間の海底映像です。
調査は水深290〜411メートルにある5地点で行われ、すべての地点から魚の巣が見つかりました。
巣は海底の堆積物を払いのけて作られた浅い円形のくぼみで、平均直径は12.3センチメートルでした。
実際の映像がこちら。
調査の結果、映像内で巣を利用したり手入れしたりしていた魚は、通称「イエローフィン・ノティー」(学名:Lindbergichthys nudifrons)という魚でした。
この魚は最大でも19.5センチメートルほどの南極魚で、オスが巣に残って卵を守る習性を持っています。

チームが巣の使用状況を判断する手がかりにしたのは、海底を覆うプランクトン由来の堆積物でした。
巣のくぼみにも堆積物が積もっていれば「使われていない巣」、内部だけがきれいに保たれていれば「魚が維持管理している活動中の巣」と分類したのです。
その結果、277の巣群から1036個の活動中の巣が確認されました。
さらに93個は使われていない巣と判断され、72個の巣では内部や周辺に仔魚の姿も見つかりました。
今回の探査時期は既知のふ化時期より後だったため、卵そのものは確認されていません。
しかし、海底一帯に広がる多数の手入れされた巣と仔魚の存在は、この場所が実際に利用されている大規模な繁殖環境であることを示しています。

































