ダーウィンが予言した「虫を食べる高山植物」、ユキノシタの仲間が虫を消化していた
ダーウィンが予言した「虫を食べる高山植物」、ユキノシタの仲間が虫を消化していた / Credit: Adolf Engler, Botanische Jahrbücher (1912) / Wikimedia Commons (No known copyright restrictions)
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ダーウィンが予言した「虫を食べる高山植物」、ユキノシタの仲間が虫を消化していた

2026.09.18 13:00:16 Friday

ハイキングの帰り、ズボンの裾にべたついた草の毛がくっついて、なかなか取れないことがあります。

舞台は、中国南西部の土のやせた高い山。

そこに生えるユキノシタの仲間の小さな草は、葉も花びらも茎も粘つく毛におおわれています。

1875年、進化論で知られるダーウィンは、ユキノシタの仲間には虫を食べる草がいるかもしれないと考えました。

この草を雲南省の山で調べた研究チームは今回、毛が虫を捕まえるだけでなく、消化して栄養にしていることを確かめました。

つまりこの草は、ダーウィンの予想どおりの食虫植物だったのです。

実際の草の画像はこちら(画像)。

研究内容の詳細は2026年8月4日に『Nature Communications』にて発表されました

Plantwatch: The insect-eating alpine plant that proves Darwin was right (The Guardian) https://www.theguardian.com/science/2026/sep/16/plantwatch-the-insect-eating-alpine-plant-that-proves-darwin-was-right A new carnivorous plant lineage (Triantha) with a unique sticky-inflorescence trap (PNAS) https://doi.org/10.1073/pnas.2022724118 On the Origin of Carnivory: Molecular Physiology and Evolution of Plants on an Animal Diet (Annual Review of Plant Biology) https://doi.org/10.1146/annurev-arplant-080620-010429
Identification of carnivory in the flowering plant Saxifraga via multidisciplinary evidence https://doi.org/10.1038/s41467-026-75288-y

山の草の「粘つく毛」に、小さな虫が捕まっていた

山の草の「粘つく毛」に、小さな虫が捕まっていた
山の草の「粘つく毛」に、小さな虫が捕まっていた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

この草が生えているのは、中国南西部の横断山脈です。

主役は、学名を Saxifraga candelabrum というユキノシタの仲間の草。

葉にも花びらにも茎にも、先が甘くべたつく小さな毛がびっしり生えています。

その毛には、ユスリカという小さな羽虫がよくくっついています。

研究チームがこの草の押し葉の標本を調べると、花の付いた45点のうち43点で、毛に虫が捕まっていました。

採られた時代も場所もばらばらな標本で、ほぼ毎回です。

たまたま虫が付いたのではなく、この草のいつもの姿だと研究チームは見ています。

ここで「くっつく」と「食べる」は別の話だ、と思った人がいるかもしれません。

そのとおりです。くっついただけでは、食べたことにはなりません。

給食を思い出してください。皿に載せただけでは、食べたとは言いません。

かんで飲み込み、体の栄養になって、はじめて「食べた」になります。

植物なら、捕まえる、消化する、体に取り込む、がすべてそろう必要があります。

研究チームは、この草でその全部を確かめました。

まずは、消化を確かめる実験です。

食虫植物が消化に使う酵素が毛にあるかを、酵素が働くと光る試薬で調べました。

毛が、黄緑色に光った。

食虫植物として有名なムシトリスミレの仲間と、同じ反応です。

一方、同じ場所に生える近い仲間の草は、同じ条件でも光りませんでした。

次は、取り込みを確かめる実験です。

研究チームは、目印を付けた窒素を含ませたショウジョウバエを、この草に与えました。

しばらくすると、この草の体には目印の窒素が増えていました。

同じように与えても、虫を食べない近くの草では増えません。

周りの土も調べましたが、目印の窒素は土からは来ていませんでした。

つまり虫の体の栄養が、毛から草の中へ移っていたのです。

捕まえて、消化して、取り込む。ダーウィンの予想どおり、この草は虫を食べていました(ダーウィンとその後の科学が見つけた答え)。

捕まえる、消化する、取り込む、を確かめた
捕まえる、消化する、取り込む、を確かめた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

ただ、ここで気になることがあります。

虫を捕まえる毛は、花の枝にも生えています。

花粉を運んでくれる虫まで、捕まえてしまわないのでしょうか。

次ページ花粉を運ぶ虫と「食べる虫」は、どう分けているのか

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