第二次大戦の氷の軍艦計画から生まれた「スーパー氷」、極地や宇宙の建材をめざす
第二次大戦の氷の軍艦計画から生まれた「スーパー氷」、極地や宇宙の建材をめざす / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部
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第二次大戦の氷の軍艦計画から生まれた「スーパー氷」、極地や宇宙の建材をめざす

2026.09.17 17:51:52 Thursday

製氷皿から出したばかりの氷は、グラスに落としただけで角がぱきっと欠けます。

氷は硬いのに、力を受けると急に割れる。

そのもろさを、魚のタンパク質で変えた研究があります。

イスラエルのヘブライ大学の研究チームが、割れる前に純粋な氷の70倍のエネルギーを受け止める氷を作りました。

比べたのは、実験室で作った円柱の試験片と、純粋な氷です。

壊れ方そのものが変わった氷です。

使ったのは、魚が持つ「氷にくっつくタンパク質」を作り変えたのりと、セルロース(木の繊維を作っている成分)の細かい粒。

着想のもとは、第二次世界大戦のさなかに真面目に検討された「氷で軍艦を造る」計画です。

戦時中の案は木のパルプを氷に混ぜるだけでしたが、今回は繊維と氷を分子のレベルで結び付けます。

新しい氷は「バイオパイクリート」、あるいは「スーパー氷」と呼ばれています。

そもそも、なぜ氷で軍艦を造ろうとしたのでしょうか。

WWII battleship made from ice inspires strong new building material (New Atlas) https://newatlas.com/engineering/super-ice-new-material/ 廃コンクリートとCO2でつくる新しい建材が開発される(ナゾロジー) https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/97883

鉄が足りない戦時中に生まれた「氷の軍艦」計画

鉄が足りない戦時中に生まれた「氷の軍艦」計画
鉄が足りない戦時中に生まれた「氷の軍艦」計画 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

鉄とアルミが足りなかったからです。

第二次世界大戦のさなか、イギリスの発明家ジェフリー・パイクが、ほぼ凍った水だけで船を造る案を出しました。

連合国側は、この案を真面目に検討しました。

山の上を平らに削って、史上最大の空母にする。

名付けて「ハバクック計画」。

ところが、ノーベル化学賞を受けた化学者マックス・ペルツが、天然の氷山では大きさも安定さも足りないと指摘します。

そこでパイクが考えたのが、水に木のパルプを混ぜて凍らせた、丈夫な氷でした。

型に流しやすく、削りやすく、安く作れる。

この氷は「パイクリート」と名付けられ、見込みがあると思われました。

しかし、遠くまで運べる船が急に手に入るようになったこともあり、計画はほとんど進まないまま終わります。

以来パイクリートは、技術者の間で「変わった材料」として知られるだけでした。

弱点も、はっきりしていました。

研究チームによると、木のパルプのセルロース繊維が氷の中でばらばらに散らばっているため、強さに限りがあるのです。

繊維をもっと細かくし、細かい網の目を立体の骨組みとして結び付ける。

そうすれば、氷はもっとコンクリートに近づくと研究チームは考えました。

では、氷の中で繊維同士をどうやって結び付けるのでしょうか。

次ページ魚のタンパク質を「のり」にして、繊維を氷につなぐ

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