チワワはメキシコにいた昔の犬を祖先に持つ

散歩中のチワワが、自分の何倍もある大型犬に向かって一歩も引かずに吠えている。
そんな光景に出くわしたことのある人は多いはずです。
両手に収まるほどの体なのに、態度だけは堂々としています。
大きな耳をぴんと立て、よく通る声を張り上げる姿には、どこか野生の気配すら漂います。
愛玩犬の代表のように扱われるこのチワワという犬種は、メキシコで生まれました。
いまのチワワには、ヨーロッパから持ち込まれた犬の血が混ざっていますが、メキシコの地元の犬の血もわずかに残っているとされています。
その地元の犬とは、コロンブスが着くよりずっと前から、アメリカ大陸で人と暮らしてきた犬たちです。
一方、この大陸には、ほかの大陸にはいない野生のイヌの仲間、コヨーテがすんでおり、コロンブス以前のアメリカ大陸では、人々が犬とコヨーテを掛け合わせていた証拠が見つかっています。
では、そのコヨーテの血は、いま私たちに身近なチワワにまで届いているのでしょうか?
じつは、昔の地元の犬に残る証拠だけでは、この問いに答えが出ません。
昔のメキシコにいた犬のうち、どの犬がチワワの祖先につながるのかが、はっきりしていないからです。
その祖先は、コヨーテの血を持っていたのか?
持っていたとして、ヨーロッパの犬と混ざり合い今のチワワという品種が出来上がるまで残り続けたのか?
どちらも、過去の証拠からはたどれないのです。
答えを出すには、いま生きているチワワのDNAを直接調べるしかありません。
もっとも、直接調べても、答えはすぐには見えてきません。
何百年も前の交わりの跡は、DNAの中で細かく切り刻まれているからです。
たとえば、ある犬の群れにコヨーテが1頭加わると、その子どもでは、DNAの半分がまるごとコヨーテ由来です。
しかし孫の世代では、コヨーテの部分が切り貼りされて、いくつかの大きな塊に分かれます。
その先も犬どうしで代を重ねるたびに、塊はさらに切られて短くなっていきます。
そして短い断片は、まわりの「ふつうの犬」の部分に埋もれてしまいます。
そのため、いまのチワワにコヨーテの名残が眠っているとしても、その場所を1つずつ指し示すのは簡単ではありません。
同様の問題は人間にも当てはまります。
いま生きている人のDNAのどの部分が、どんなルーツの祖先から来たのかを見分けるのも、時代を遡るほど難しくなっていきます。
スタンフォード大学のアレクサンダー・G・イオアニディス氏らの研究チームは、この人間の問題に取り組むために、解析ソフト「Gnomix」を開発しました。
その実力を試す舞台に選ばれたのが、チワワです。
























