明晰夢では「前頭葉」がギンギンに活性化していた
人は毎日夢を見ます。
今日は見なかったと思っても、覚えていないか、覚醒後に夢の記憶が作れなかっただけで、必ず見ているのです。
レム睡眠時にあらわれる普通の夢は、自分に主導権がなく、登場する人や場所にも一貫性がありません。
一方の明晰夢は、自分が夢の中にいることをはっきり自覚し、自由に行動できます。
これは体が寝ていながらも、「前頭葉」が目覚めた状態にあるからです。
前頭葉は、現在の行動によって生じる未来の予測、それによる行動の選択など、思考と行動を司る「実行機能(executive function)」の役目を担います。
一般的な夢の場合は前頭葉も休眠しているのですが、明晰夢を見る人では、この領域が活発に働いているのです。
脳波の記録研究では、通常の夢ではシータ波が出るのに対し、明晰夢では集中時に放たれるガンマ波が確認されています。
つまり、明晰夢を見る人の脳は、考えながら行動を選択するという覚醒時と同じ状態にあるのです。
一番の違いは、覚醒時の行動が現実空間に強く制限されるのに対し、明晰夢では、外界と独立して完全に自由な仮想世界を築けることです。
明晰夢を見る人は、周囲の状況を正確に認識し、見たい夢を自らの意思で作れます。
驚くべきは、夢の中で五感が忠実に再現されることです。
ある経験者は「夢の中でイチゴを見つけ、それを手にとって見て、香りを嗅いで口の中に入れ、味わうことができた」と報告しています。
視覚や味覚などの感覚は、現実世界と切り離されていても、成熟した脳さえあれば構築できるのかもしれません。
では、明晰夢を見るにはどうすれば良いのでしょうか。