画像
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
history archeology

「吸血鬼」と恐れられた17世紀の女性の遺骨を調査した結果…

2026.08.27 17:00:13 Thursday

死者が墓からよみがえり、生きている人々に災いをもたらす。

現代では、単なる世迷言として片付けられそうですが、かつてのヨーロッパでは、こうした恐怖が実際の埋葬方法にまで影響していました。

2022年、ポーランド北中部にある17世紀の墓地から、首の上に大きな鉄製の鎌を置かれ、左足の親指には南京錠を付けられた若い女性の遺骨が発見されました。

これは「吸血鬼」として恐れられた人物の墓と見られていますが、彼女は実際には何者だったのでしょうか?

ポーランドのニコラウス・コペルニクス大学(NCU)は、骨格、DNA、同位体、金属元素、織物などを分析し、この女性の人生と埋葬後に起きた出来事を再構成しました。

研究の詳細は、2026年7月30日付で学術誌『Journal of Archaeological Science: Reports』に掲載されています。

Archaeologists investigate a feared young woman’s 17th century vampiric grave in Poland https://phys.org/news/2026-08-archaeologists-young-woman-17th-century.html 400-year-old ‘vampire’ grave discovered in Poland https://www.popsci.com/science/vampire-grave-young-woman-poland/
A unique, non-normative burial of a young adult female from a 17th-century cemetery in Pień, north-central Poland. A multidisciplinary approach https://doi.org/10.1016/j.jasrep.2026.105967

「首には鎌、足には南京錠」墓は一度掘り返されていた?

「75号」と称される墓に埋葬されていたのは、死亡時17~19歳ほどの若い女性でした。

放射性炭素年代測定では、埋葬年代として1620~1674年の可能性が最も高く、17世紀半ばごろの人物だったと考えられています。

異様なのは、その遺体に施された処置です。

女性の首の上には大きな鉄製の鎌が置かれ、刃は喉へ向けられていました。

さらに左足の親指には三角形の鉄製南京錠が付けられていました。

実際に発掘された女性の墓の画像がこちら

こうした鎌や南京錠は、死者が生者の世界へ戻ることを防ぐための「反悪魔的」「厄除け的」な習慣と結びつけられています。

そのため、この墓は一般には「吸血鬼墓」として紹介されてきましたが、研究者たちは当時の信仰を単純に現代的な「吸血鬼」のイメージへ当てはめることを避けています。

さらに今回の調査から、この2つの道具は同時に置かれたとは限らないことが分かってきました。

脚の骨が乱れていなかったことから、南京錠は最初の埋葬時から付けられていた可能性があります。

一方、墓の土には掘り返された痕跡があり、研究者たちは埋葬後に墓が再び開けられ、その際に鎌が追加された可能性を指摘しています。

しかも骨の位置からみて、再開封は遺体が完全に腐敗する前だった可能性があります。

もしこの解釈が正しければ、人々は葬儀の時点ですでに彼女を警戒して南京錠を付け、その後さらに恐怖を強め、墓を掘り返して追加の「封印」を施したことになります。

次ページ吸血鬼を恐れられた女性の「正体」とは?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

歴史・考古学のニュースhistory archeology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!