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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
history archeology

「吸血鬼」と恐れられた17世紀の女性の遺骨を調査した結果… (2/2)

2026.08.27 17:00:13 Thursday

前ページ「首には鎌、足には南京錠」墓は一度掘り返されていた?

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吸血鬼を恐れられた女性の「正体」とは?

分析から浮かび上がったのは、社会から完全に孤立した貧しい女性という単純な姿ではありませんでした。

頭蓋骨の近くからは、絹を土台とし、純銀と金メッキされた銀の糸で飾られた高価な頭飾りの断片が見つかりました。

こうした装飾品から、研究者たちは彼女が貴族や裕福な都市民など、比較的高い社会階層に属していた可能性を指摘しています。

一方、炭素と窒素の同位体から食生活を調べると、主に穀物を食べており、地の成人の中では動物性タンパク質の摂取が少ない側に位置していました。

ただし、これはそのまま「栄養失調だった」ことを意味するわけではありません。

17世紀には戦争や疫病、食料不足などもあり、裕福な家庭でも常に豊富な食事を得られたとは限らないためです。

DNAにも興味深い特徴がありました。

女性のミトコンドリアDNAは「J1c2c1」という珍しい母系系統に属し、北欧や西欧、特にスカンジナビアとの古い結びつきを持つ系統でした。

しかし歯のストロンチウムと酸素の同位体は、彼女自身が墓のあるピエン周辺で育った可能性が高いことを示しています。

つまり、本人がスカンジナビアから来たのではなく、地元で育ちながら母系祖先に北欧や西欧とのつながりを持っていた可能性があります。

女性の遺骨の画像

さらに研究者たちは、口蓋や頭蓋底、首の骨に緑色の変色を発見しました。

分析すると口の奥では銅の濃度が特に高く、銅を含む何らかの物体や物質が口、あるいは鼻から喉の近くまで入れられていた可能性があります。

硬貨だった可能性も検討されましたが、金属組成などが一致せず、具体的に何だったのかは分かっていません。

このため女性には、南京錠、鎌、そして口や鼻に入れられた可能性のある物体という、複数の特殊な処置が施された可能性があります。

しかし、ここまで調べても、彼女がなぜ恐れられたのかは判明していません。

骨には死因となる明確な外傷や病変も残っていませんでした。

17世紀の社会では、突然死や病気、異質とみなされた振る舞い、さらには疫病や飢饉といった災厄まで、亡くなった人物と結びつけて考えることがありました。

彼女も何らかの理由で「死後も危険な存在」とみなされたのかもしれませんが、その理由は今も謎のままです。

今回の研究が明らかにしたのは、「吸血鬼が存在した」ということではありません。

むしろ、17世紀の人々が死者をどれほど現実的な脅威として恐れ、その恐怖が墓を掘り返してまで追加の対策を施すほど強かった可能性があるということです。

名前も死因も分からない17~19歳の女性ですが、その墓に残された鎌と南京錠は、400年前の人々が抱えていた恐怖を現在まで鮮明に伝えています。

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