1トンを超える大型哺乳類の骨に残されていた「噛み跡」
中新世の南アメリカには、現在とはかなり異なる生態系が広がっていました。
広大な湖沼環境の周囲には巨大なカメやワニ形類が暮らし、アナコンダ、飛べない「恐鳥類」、サーベル状の牙を持つ哺乳類など、さまざまな捕食者が獲物を狙っていました。
一方で、この時代の南アメリカの化石群では、草食哺乳類に対して肉食哺乳類の割合が比較的少ないことが知られています。
そこで研究者たちは以前から、大型哺乳類を狩る役割のかなりの部分を、巨大なワニ形類などの非哺乳類捕食者が担っていたのではないかと考えていました。

今回チームが調べたのは、コロンビアのラ・ベンタから見つかった約1600万~1050万年前の大型有蹄類の化石です。
対象となったのは3種の大型哺乳類で、頭骨の一部、大腿骨、2つの下顎骨という計4標本が分析されました。
すると頭骨には大きな円形の穴、大腿骨には半円形の穿孔痕や小さな穴が見つかり、2つの下顎骨にも複数の深い噛み跡が残されていました。
しかも下顎骨の一部は、表面に傷がついただけではなく、硬い骨そのものが大きく変形していました。
何者かが非常に強い力で噛みついた痕跡だったのです。
「犯人」は全長7メートル、体重1.8トンの巨大ワニ
では、これほどの傷を残した捕食者は何だったのでしょうか。
チームが噛み跡の大きさや形、骨の変形などを当時の捕食者と比較したところ、4標本すべてで最も有力な候補として浮かび上がったのがプルスサウルスでした。
中でもプルスサウルス・ネイベンシスは全長約7メートル、体重約1800キログラムに達したとされ、当時最大級の捕食者でした。
しかも、この時代の有蹄類には体重が1トンを大きく超えるものも存在していました。
つまり当時の南アメリカには、巨大なワニ形類が1トンを超える大型哺乳類を獲物にする世界が存在していたのです。
さらに、化石に残ったプルスサウルス由来とみられる傷は、現生ワニが獲物の骨に残す噛み跡ともよく似ていました。
そのため研究者らは、現代のワニを参考にすることで、こうした古代の巨大ワニの生態を復元できると考えています。

今回調べられたのは4標本ですが、巨大ワニ類が大型哺乳類の重要な捕食者だったという従来の仮説を、実際の骨に残された物証から直接支える結果となりました。
現代では大型哺乳類を狩る捕食者といえば、ライオンやトラなどの肉食哺乳類を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし中新世の南アメリカでは、その役割の大きな部分を巨大な爬虫類が担っていた可能性があります。
全長7メートル、重さ1.8トンにもなる怪物と、1トンを超える大型哺乳類が同じ生態系で捕食者と獲物の関係にあった世界は、まるで怪獣映画のようです。
今回見つかった噛み跡は、そんな失われた生態系で実際に起きていた捕食の一場面を、1000万年以上の時を超えて私たちに伝えているのです。





















今回の研究から、大型爬虫類や恐鳥が第三紀南米の頂点捕食者の座から交代した環境要因や生態系・動物相等の変遷も興味が湧きます。それにしても昔プルスサウルスは10mを遙かに超える巨体とされていましたが、“巨大古生物あるある”とは言え随分と縮んだものです。
プルスサウルス
想像図では、ワニ型歩行ではなく、四肢が 身体から垂直方向に出ていますね。 現存のワニとは、随分違います。
ワニは、何でガニ股になったのかな?
もっと昔の、 シャカルラリオハネンシスも こんな感じでしたよね〜?