「犯人」は全長7メートル、体重1.8トンの巨大ワニ
では、これほどの傷を残した捕食者は何だったのでしょうか。
チームが噛み跡の大きさや形、骨の変形などを当時の捕食者と比較したところ、4標本すべてで最も有力な候補として浮かび上がったのがプルスサウルスでした。
中でもプルスサウルス・ネイベンシスは全長約7メートル、体重約1800キログラムに達したとされ、当時最大級の捕食者でした。
しかも、この時代の有蹄類には体重が1トンを大きく超えるものも存在していました。
つまり当時の南アメリカには、巨大なワニ形類が1トンを超える大型哺乳類を獲物にする世界が存在していたのです。
さらに、化石に残ったプルスサウルス由来とみられる傷は、現生ワニが獲物の骨に残す噛み跡ともよく似ていました。
そのため研究者らは、現代のワニを参考にすることで、こうした古代の巨大ワニの生態を復元できると考えています。

今回調べられたのは4標本ですが、巨大ワニ類が大型哺乳類の重要な捕食者だったという従来の仮説を、実際の骨に残された物証から直接支える結果となりました。
現代では大型哺乳類を狩る捕食者といえば、ライオンやトラなどの肉食哺乳類を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし中新世の南アメリカでは、その役割の大きな部分を巨大な爬虫類が担っていた可能性があります。
全長7メートル、重さ1.8トンにもなる怪物と、1トンを超える大型哺乳類が同じ生態系で捕食者と獲物の関係にあった世界は、まるで怪獣映画のようです。
今回見つかった噛み跡は、そんな失われた生態系で実際に起きていた捕食の一場面を、1000万年以上の時を超えて私たちに伝えているのです。

































