イソギンチャクパンチで敵を撃退!
自然下で見られるキンチャクガニは、ほぼ必ずイソギンチャクを手に挟んでいます。
他種のカニはたいてい体より大きく、頑丈なハサミをもっていますが、キンチャクガニのそれはピンセットほどのサイズです。
これが不思議にも、イソギンチャクを挟んでおくのに適した造りをしています。
それ自体では攻撃にも防御にも役立たず、ほとんどイソギンチャクを挟むためにあると言っても過言ではありません。

手にもったイソギンチャクは、攻撃してきた敵を威嚇するために使われます。
体格に勝るタコや魚でもイソギンチャクに触れれば、鋭い痛みとマヒに襲われ、逃げ去っていきます。
こちらは巨大なフグをパンチで追い払う様子です。
まさにボクサーという感じですが、イソギンチャクをフリフリする普段の様子はとても愛らしく、ボクサーというよりチアリーダーです。
なので、英名では「ポンポンクラブ(pom-pom crab)」と呼ばれることもあります。
気性も敵に襲われない限りは実に穏やかで、サンゴや海底の岩場に身を潜めてジッとしています。

また、キンチャクガニが自分からイソギンチャクを手放すことはありません。
唯一放すのは毛繕いをするときですが、それも片方はもったまま、もう片方だけを放して足で押さえておくという念の入れよう。
ですから、野生下でイソギンチャクをもっていないキンチャクガニは見つかりません。
それでは、イソギンチャクがなかったり、紛失してしまったときはどうするのでしょうか?