猫は男性に2倍「ニャー」とお帰りの挨拶をすると判明――なぜなのか?
猫は男性に2倍「ニャー」とお帰りの挨拶をすると判明――なぜなのか? / Credit:川勝康弘
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猫は男性に2倍「ニャー」とお帰りの挨拶をすると判明――なぜなのか?

2025.11.28 18:00:39 Friday

トルコのアンカラ大学(Ankara University)などで行われた研究によって、飼い猫が「おかえり」のときにどれくらい鳴いて挨拶するのかを計算してみると、女性の飼い主には100秒のあいだにだいたい2〜3回しか鳴かないのに、男性の飼い主には5回くらい鳴いていて、回数にするとほぼ2倍ちかい差が出ていました。

さらに、猫の性別や年齢、血統、多頭飼いかどうかといった条件を考慮に入れても、この違いはほとんど変わらず、「帰ってきた人が男性か女性か」という点だけが鳴き声の多さと有意な関係を示したのです。

いったいなぜ猫たちは男性へより多く鳴き声をあげているのでしょうか?

研究内容の詳細は2025年11月14日に『Ethology』にて発表されました。

Greeting Vocalizations in Domestic Cats Are More Frequent With Male Caregivers https://doi.org/10.1111/eth.70033

猫の投げかける「ニャー」に男女差はあるのか?

猫の投げかける「ニャー」に男女差はあるのか?
猫の投げかける「ニャー」に男女差はあるのか? / Credit:Canva

「なぜかこの人にだけ、うちのはよく鳴く気がする」

そう感じたことがある方もいるのではないでしょうか?

呼んでも来ないのに、玄関の音がした瞬間だけは、しっぽを立てて走ってきて「ニャー」と挨拶する――そんな“猫あるある”の裏側に、猫なりの細かい駆け引きが隠れているかもしれません。

動物の世界では、「挨拶行動」が、仲直りや仲良し確認のために大きな役割を果たすことが知られています。

ハイエナやゾウでは、特徴的な挨拶のしかたを通して、社会の秩序や協力関係が保たれています。

猫はもともと単独で狩りをするハンターですが、エサが豊富な場所では集まって暮らし、お互いに毛づくろいをしたり、体をこすりつけ合ったりして関係を作る「社会的に柔軟な動物」だと考えられています。

人と猫のコミュニケーションは、さらに複雑です。

目線やまばたき、指差しといった視覚のサインに加えて、「猫向けの高い声」(cat-directed speech:赤ちゃん言葉のような話し方)や、ミャー、トリル、ゴロゴロといった鳴き声を組み合わせた、マルチモーダル(複数の手段を同時に使う)なやりとりになっています。

別の研究では、猫が飼い主の声と他人の声を聞き分けていることも示されていますが、主な反応は頭や耳を向けるといった姿勢の変化で、鳴き返す個体ばかりではありませんでした。

ここまで分かってきたのは、「猫は人の声を聞き分けられるし、いろいろな手段で挨拶しているらしい」ということです。

しかし飼い主の性別や年齢、猫の性別や血統といった条件が、それらの挨拶パターンにどう影響しているのか――ここはまだ十分には調べられていませんでした。

そこで今回の研究は、「日常のごく短い瞬間」に焦点を絞りました。

帰ってきた飼い主を見つけた猫が最初の100秒でどんな挨拶をするのかを調べることにしたのです。

もし猫が「男性の飼い主にはこう鳴く」「女性にはこう振る舞う」といった具合に、相手別に挨拶を使い分けていたとしたら、それはかなり興味深い発見になります。

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