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新しい友達を作る時、まずは様子見するインコたち / Credit:Canva
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インコが友達を作る時、まずは「様子見する」と判明

2025.11.21 17:00:08 Friday

学校で新しいクラスになった時、私たちは「誰と友達になるべきか」そわそわしたものです。

すぐに話しかけて友達をつくるよりも、最初はゆっくり様子を見ながら距離感を探った人も多いのではないでしょうか。

実はこの“様子見の友達づくり”は、人間だけのものではありません。

アメリカ、シンシナティ大学(University of Cincinnati)の研究チームは、野生由来のオキナインコ(Myiopsitta monachus)が新しい相手と関係を形成するとき、まず一定の距離を保ちながら相手の反応を確かめ、そこから段階的に接近していくことを明らかにしました。

研究成果は2025年11月12日付の『Biology Letters』に掲載されています。

Parakeets ‘test waters’ of new relationships https://www.uc.edu/news/articles/2025/11/parakeets-test-waters-of-new-relationships.html
Monk parakeets ‘test the waters’ when forming new relationships https://doi.org/10.1098/rsbl.2025.0399

オキナインコは友達を作る時に「まずは様子を見る」と判明

オキナインコ(学名:Myiopsitta monachus)は南米原産の社会性が高いインコで、群れで共同生活を送りながら仲間との関係を維持します。

彼らはパートナーと長期的な絆を形成し、羽繕いをしたり、くちばしを触れ合わせたり、ときには食べ物を分けあったりする社会的な行動を示します。

しかし初めて出会う相手に突然触れると、歓迎されない羽繕いが小さなケンカにつながったり、噛まれてケガをしたりする危険があります。

こうしたトラブルは、その後の関係づくりに悪い影響を与えるはずです。

では、彼らはどうやって新しい友達を”上手く”作っているのでしょうか。

研究チームは、オキナインコが新しい相手と関係を築くときの“最初の一歩”を詳しく調べるため、自然では観察が難しい「初対面の瞬間」を人工的に作り出す実験を行いました。

異なる4つの地域で捕獲した22羽の野生オキナインコを大規模な屋外フライトペンに同時に放ち、そこで生まれる新しいペアの行動を詳細に記録したのです。

その中で研究者は「179以上のペアの組み合わせ」がどのような順序で関係を進めるのかを観察できました。

観察された行動は、1メートル以内に近づくが触れない「非接触の近距離」、肩を並べたり羽繕いしたりする「中リスクの接触」、さらに食べ物の分配や交尾といった「高リスクの接触」という三つの段階に分類されています。

そして解析の結果、知らない個体同士は非常に高い確率で「まず触れずに近づく」段階を踏み、そこから中リスクの接触、そして高リスクの接触へと順序を守って進んでいることが分かりました。

一方、もともと知り合いだったペアではこの段階的なパターンは弱く、既存の関係が影響している可能性が示されました。

では、この行動にはどんなメリットがあるでしょうか。

次ページ「まず様子を見る」という計画的な友達作りのメリット

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