画像
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
history archeology

古代ローマ兵の最前線が「地獄絵図」だったと判明

2026.01.07 22:00:45 Wednesday

古代ローマといえば、整然とした軍団、石造りの砦、浴場やトイレまで完備した高度な文明社会を思い浮かべる人も多いでしょう。

しかし、ローマ帝国の最前線で兵士たちが送っていた日常は、そのイメージとは大きく異なる「地獄絵図」だった可能性が浮かび上がってきました。

イングランド北部、ハドリアヌスの長城近くに築かれたローマ軍の砦「ヴィンドランダ」を調査した英オックスフォード大学(University of Oxford)らの最新研究により、兵士たちの体内で何が起きていたのかが、驚くほど生々しく明らかになったのです。

研究の詳細は2025年12月2日付で学術誌『Parasitology』に掲載されています。

Horror of Life on Roman Frontier Revealed in Gut-Wrenching Study https://www.sciencealert.com/horror-of-life-on-roman-frontier-revealed-in-gut-wrenching-study
Parasite infections at the Roman fort of Vindolanda by Hadrian’s Wall, UK https://doi.org/10.1017/S0031182025101327

ローマ兵の体内でうごめいていた「見えない敵」

今回の研究で注目されたのは、武器や建物ではなく、砦の浴場トイレから流れ出る排水路の堆積物です。

そこに残されていたのは、兵士たちが日々排泄していた糞便の痕跡でした。

研究チームは、この堆積物を詳しく分析し、古代の人々に感染していた寄生虫を調べました。

【調査された遺跡の画像がこちら

その結果、回虫や鞭虫といった大型の腸内寄生虫の卵が高頻度で見つかり、さらに下痢を引き起こす微小な原虫「ジアルジア」まで検出されました。

特にジアルジアは、ローマ時代のブリテンで初めて確認された例です。

これらの寄生虫はすべて、糞便で汚染された水や食べ物、手指を介して感染します。

つまり、砦には浴場やトイレが整備されていたにもかかわらず、実際の衛生状態は極めて悪く、兵士たちは慢性的な腸内感染にさらされていた可能性が高いのです。

回虫は体長30センチ近くに達することもあり、腹痛や下痢、栄養障害を引き起こします。

鞭虫も長期間体内に寄生し、体力をじわじわと奪います。

ジアルジアに感染すれば、激しい下痢と脱水が続き、数週間まともに動けなくなることも珍しくありません。

次ページ「文明の象徴」の砦で起きていた現実

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

歴史・考古学のニュースhistory archeology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!