砂漠の奥地で見つかった「刃のトサカ」
物語は2019年、中央サハラの調査から始まります。
研究チームが砂漠から掘り出したのは、巨大で湾曲した骨でした。しかしその正体はすぐには分かりませんでした。
再調査でさらに2つのトサカ骨が見つかり、現地ニジェールの砂漠で太陽光発電を用いて骨の3次元デジタルモデルを作成し、頭骨を仮想的に組み上げたところ、初めて全体像が明らかになります。
それは既知のどのスピノサウルスとも異なる、まったく新しい種の頭部でした。
この恐竜の最大の特徴は、三日月刀(シミター)形の巨大な頭頂トサカです。
骨の表面の質感や内部の血管の通り道から、研究者らはこの構造が生前はケラチン(角質)に覆われ、鮮やかな色彩を帯びていた可能性を指摘しています。
つまり、このトサカは単なる骨ではなく、視覚的なディスプレイ構造だった可能性があるのです。
【新種の復元画像がこちら】
さらに注目すべきは歯の構造です。
上下の歯が互いにかみ合う「インターロッキング構造」を持ち、下顎の歯が外側に張り出し、上顎の歯の間に入り込む仕組みになっています。
これは滑りやすい魚を逃がさないための適応で、魚食性動物に見られる特徴です。恐竜の中ではスピノサウルス類に特有の進化といえます。
スピノサウルス・ミラビリスは、大型の魚食性捕食者でしたが、その頭部はこれまで知られている近縁種とは明確に異なっていました。
研究者らは、この発見がスピノサウルス科の進化の最終段階を理解するうえで重要だと位置付けています。



























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