完全水生ではなかった?内陸に暮らす「地獄のサギ」
これまでスピノサウルス科の化石は、海岸近くの地層から見つかることが多く、一部の研究者は「完全水生だったのではないか」と考えてきました。
しかし今回の発見地は、当時の海岸線から約1000キロメートルも離れた内陸です。
化石は河川堆積物中から発見され、近くには長い首を持つ植物食恐竜の骨格も保存されていました。
これらは森林に覆われ、川が流れる内陸環境を示唆しています。
チームはこの恐竜を「地獄のサギ」のような存在だったと表現しています。
頑丈な脚で水深2メートルほどの場所に入り、しかし多くの時間は浅瀬で大型魚を待ち伏せしていたのではないかと考えられています。
つまり、スピノサウルス・ミラビリスは、完全に水中を泳ぎ回る捕食者というよりも、川辺を歩きながら魚を狙う半水生のハンターだった可能性が高いのです。
論文では、スピノサウルス科の進化が段階的に進んだことが示唆されています。
初期には魚食性への適応が始まり、次に沿岸環境で広がり、そして最終的に内陸の河川環境へ進出した段階にこの新種が位置づけられると考えられています。
砂の下にまだ眠る進化の物語
サハラ砂漠は現在こそ乾ききった砂の世界ですが、白亜紀には川が流れ、森林が広がる生態系が存在していました。
その川辺に立ち、空へと湾曲する鮮やかなトサカを掲げながら魚を狙っていた巨大な捕食者。それがスピノサウルス・ミラビリスだったのかもしれません。
100年以上新種が見つからなかったスピノサウルス科に、再び大きな光が当たりました。砂の下には、まだ私たちの想像を超える進化の物語が眠っている可能性があります。
サハラは、過去の世界への巨大なタイムカプセルなのです。



























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