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Credit: UCI, Courtesy of Ghislain Bardout
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ニシオンデンザメはいかに数百年間も視力を維持しているのか

2026.01.06 17:00:19 Tuesday

数百年生きる不老長寿の「ニシオンデンザメ」は、北極海の暗く冷たい深海を静かに泳ぎ続けています。

その目には寄生生物が付着していることも多く、長年「ほとんど見えていないのではないか」と考えられてきました。

しかし米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の最新研究は、この常識を大きく覆しました。

実はニシオンデンザメは、数百年もの長きにわたり、視力そのものをほとんど失わずに保ち続けている可能性が示されたのです。

では、このサメはいったいどのようにして、そんな離れ業を成し遂げているのでしょうか。

研究の詳細は2026年1月5日付で科学雑誌『Nature Communications』に掲載されています。

Eye-opening research https://news.uci.edu/2026/01/05/eye-opening-research/#:~:text=Published%20in%20Nature%20Communications%2C%20her,to%20extreme%20low%2Dlight%20conditions.
The visual system of the longest-living vertebrate, the Greenland shark https://doi.org/10.1038/s41467-025-67429-6

暗闇に特化した「退化しない目」

ニシオンデンザメの生息域は、太陽光がほとんど届かない深海です。

そのため研究者たちは、網膜の構造や遺伝子を詳しく調べてみました。

すると意外なことに、ニシオンデンザメの網膜は崩れておらず、視覚に必要な層構造がすべて保たれていました。

しかも調べられた個体の中には、推定で100年以上生きたサメも含まれていましたが、加齢による網膜の壊死や細胞死はほとんど確認されなかったのです。

ただし、その視覚は人間のものとは大きく異なります。

ニシオンデンザメの網膜は、明るい環境で働く錐体(すいたい)細胞をほぼ失い、暗所視を担う桿体(かんたい)細胞だけで構成されていました。

視覚遺伝子を見ても、明るい場所用の遺伝子は壊れたり働かなくなったりしている一方、暗闇で光を感じるための遺伝子は完全な形で残され、しっかり発現していたのです。

さらに、暗い海でわずかな光を効率よく捉えるため、視物質ロドプシンは青い光に特化した性質を持っていました。

深海や高緯度の海では、青色光だけが比較的遠くまで届きます。

ニシオンデンザメの目は、その環境に合わせて徹底的に最適化されていたのです。

つまり視覚は衰えたのではなく、遺伝子レベルで「暗闇専用」に進化していたと考えられます。

次ページ視力を守る鍵は「DNA修復力」にあった

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