観光地の海で、アザラシはどこへ消えたのか
フォルミクラ島は、ギリシャの内イオニア海諸島にある無人島です。
透明度の高い海、泳ぎやすい入り江、豊かな海洋生物によって、観光客にも人気の場所となっています。
そして、この島を訪れる人々にとって大きな魅力の一つが、チチュウカイモンクアザラシの存在です。

しかし、アザラシにとって人間の接近は必ずしも歓迎できるものではありません。
チチュウカイモンクアザラシは本来、海岸に上がって休み、毛皮を乾かしたり、体温を調節したりする動物です。
ところが人間の活動が増えると、開けた浜辺は安全な休息場所ではなくなっていきます。
実際、現在のチチュウカイモンクアザラシは、人目につきにくい海食洞を利用する傾向が強いとされています。
フォルミクラ島でも、観光客がアザラシに近づこうとしたり、アザラシが休む洞窟を訪れたりすることが問題になっていました。
そこでイタリア・スイス・スペインの国際研究チームは、アザラシが実際にどの場所を使っているのかを確かめるため、島の洞窟にカメラを設置。
1台は、これまでアザラシが観察されていた主要な洞窟に置かれました。
もう1台は防水ケースに入れられ、隣接する「泡の洞窟」の入口付近に設置されました。
泡の洞窟とは、水中の通路を潜らなければ入れない、内部に空気のたまったドーム状の空間です。
外からは目立ちにくく、人間が気軽に立ち入ることも難しい場所です。
研究チームは、2020年7月の短期間と、2021年6月から10月までの期間を合わせ、合計141日間にわたってアザラシの利用状況を記録しました。





















































