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ルシファーと名付けられた新種蜂。※イメージ / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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”悪魔の角”をもつ新種蜂を発見、「ルシファー」と命名

2025.11.12 11:30:06 Wednesday

私たちが住む世界には人間が知らない生物がまだまだ存在します。

そんな未知の生命との出会いが、今回また一つ、西オーストラリアの大地で記録されました。

オーストラリアのカーティン大学(Curtin University)の研究チームは、絶滅危惧種の野生植物を調査するなかで、かつて誰も見たことのない特徴を持つ新種のハチを発見しました。

その名も「Megachile (Hackeriapis) lucifer」です。

この蜂はメスの顔に“悪魔の角”のような突起を持っており、その独特な姿から“ルシファー”という名前が与えられたのです。

この発見は、2025年11月10日付の『Journal of Hymenoptera Research』誌に掲載されました。

Devilishly distinctive new bee species discovered in Western Australia Goldfields https://phys.org/news/2025-11-devilishly-distinctive-bee-species-western.html
Megachile (Hackeriapis) lucifer (Hymenoptera, Megachilidae), a new megachilid with demon-like horns that visits the Critically Endangered Marianthus aquilonaris (Pittosporaceae) https://doi.org/10.3897/jhr.98.166350

顔に「悪魔の角」を持つ新種ハチ「Megachile lucifer」とは?

今回発見された「Megachile lucifer」は、ハキリバチ科に属する蜂です。(画像はこちら

最大の特徴は、顔に大きくて鋭い2本の角(突起)が生えていることです。

また体も黒く、まるで物語や映画に登場する悪魔のようなルックスです。

この三角形の角は先端が尖っており、メスだけが持つため、オスには存在しません。

角の役割はまだ仮説段階ですが、研究チームよると、花へアクセスしやすくする、花の資源をめぐる競合相手を追い払う、巣の場所をめぐる雌同士の小競り合い、巣材(樹脂や砂など)の扱いなどの用途で用いられている可能性があるという。

昆虫ではオスが武器を持つ例が多いですが、メスだけが“角”を持つのは非常に珍しい現象です。

この蜂の学名「lucifer」は、ラテン語で「光をもたらす者」を意味しますが、見た目の“悪魔の角”にちなんで名付けられました。

名付けの背景には、発見時に研究チームのKit Prendergast博士がNetflixのドラマ『ルシファー』を視聴していたことがあります。

彼は『ルシファー』のキャラクターの大ファンでもあるので、この“悪魔の角”を持つ蜂を見つけた時に、「迷うことなく決めた」ようです。

蜂のルシファーは、分類学的にも独立した新種であることが確認されています。

DNAバーコーディング(遺伝子配列による種判定)によって、既知のどの蜂とも一致しないことが明らかになり、さらに博物館所蔵の標本とも形態的な一致が見つかりませんでした。

では、この新種の蜂はどのように発見されたのでしょうか。

次ページ”悪魔の蜂”はどんな経緯で発見されたのか?

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