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ルシファーと名付けられた新種蜂。※イメージ / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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”悪魔の角”をもつ新種蜂を発見、「ルシファー」と命名 (2/2)

2025.11.12 11:30:06 Wednesday

前ページ顔に「悪魔の角」を持つ新種ハチ「Megachile lucifer」とは?

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”悪魔の蜂”はどんな経緯で発見されたのか?

このユニークな蜂の発見は、西オーストラリア州ゴールドフィールド地域のBremer山地にて、絶滅危惧野生植物「Marianthus aquilonaris」の調査がきっかけでした。

この野生花は、世界でもごく限られたエリアにしか生育していない、まさに“ご当地固有”の希少植物です。

2019年、研究チームはこの希少な花の花粉媒介者を採集していましたが、その際、「Marianthus aquilonaris」の花や、近くで満開を迎えていた「Eucalyptus livida」(ユーカリ属)の花を訪れている、今までに見たことのない特徴的な蜂を発見。

複数個体(メス・オス)を採集し、詳細な形態観察とDNA分析を進めた結果、新種と断定されたのです。

発見できたのは2019年11月2〜4日の数日間のみであり、2022年と2024年の10月調査では見つかりませんでした。

近隣や他の地域の調査、また過去の標本データベースやDNAデータベースを調べても同じ種は見つかっていません。

活動時期や分布域の狭さは、環境変化の影響を強く受けやすいことを意味します。

生態についてはまだ分かっていないことも多いですが、同属の他種と同様に木の空洞や倒木などを巣に使い、樹脂などで巣を封じると考えられています。

生息地は鉱山開発や火災、気候変動の影響を受けやすく、しかも主要な訪花植物の一つMarianthus aquilonarisは絶滅危惧です。

蜂と植物の双方が同じ狭い地域に依存しているため、どちらか一方の打撃が連鎖しかねません。

この発見は「新種が発見された」というニュース性だけでなく、花粉媒介者と植物のつながり・生態系の多様性・生物多様性保全の重要性を考えるうえで、きわめて大きな意義を持っています。

自然界には、”まだ人間が知らない生命”が潜んでいます。

「悪魔の角を持つ蜂・ルシファー」の発見は、好奇心と観察眼、地道な現地調査の力がいかに大切か、そして、貴重な生物を守っていくことの重要性を改めて教えてくれます。

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