熱波のショックで生殖器が暴発?
ミツバチの奇妙な死に方は、2021年の夏、カナダ西部ブリティッシュコロンビア州を襲った熱波がきっかけとなって発見されました。
同州アームストロング市の養蜂家エミリー・ハクスター(Emily Huxter)氏は、何十匹ものミツバチの死骸が、腹部が爆発したような状態で地面に転がっていたといいます。
その画像を受け取ったマカフィー氏は、同じような大量死が確認された州内の養蜂家と連絡を取り合いました。
死骸を調べてみると、ミツバチはすべて、普段は体内に隠されている生殖器(腹部と同じサイズがある)が飛び出した状態にあったのです。
通常、ミツバチのコロニー内は、35℃前後の温度を保つ安定した環境です。
しかし、42℃の環境に6時間置くと、ミツバチの半数が熱ストレスで死ぬことが分かっています。
より敏感なものは2〜3時間で死に始めますが、そのような温度を経験することは普通ありません。
マカフィー氏は「ミツバチが熱波のショックで死ぬと、体が強制的に射精して、生殖器が爆発するように体外に露出する」と説明します。
巣箱を涼しく保つ2つの方法を実験
これを受け、マカフィー氏とハクスター氏は、予想される熱波からミツバチを守るべく、巣箱の断熱実験を行いました。
1つ目の方法は、太陽光を直に受ける巣箱の上部を断熱材でカバーするというもの。
これには、厚さ約5センチの発泡スチロールを用いています。
2つ目の方法は、箱内にたっぷりのシュガーシロップを設置し、冷却ステーションとして機能させるというもの。
ミツバチは真夏の暑さをしのぐため、水を頻繁に汲んできては巣内にまき、その気化熱で室温を下げます。
両氏はシロップがそれと同じ役割を果たすと考えました。またシロップに含まれる糖分で、ミツバチたちの水分補給を促します。
実験では18のコロニーを用意し、10分ごとに室温を測定する温度計を設置。
そのうちの6つに発泡スチロールの断熱材のカバーを、6つにシュガーシロップを設置し、あとの6つはコントロール群として何もせずに放置しました。
その結果、コントロール群に比べて、発泡スチロールのカバーをした巣箱は約3.75℃、シュガーシロップを設置した巣箱は約1.1℃涼しくなっていたのです。
また、発泡スチロールは温度の安定剤としても働き、夜間の最低気温と昼間の最高気温がともに抑えられていました。
マカフィー氏は、発泡スチロールは夏の暑さと冬の寒さの両方からハチを守るので、養蜂家は常時使用を検討すべきであるとしています。
今回の研究は実験段階であり、論文としての正式な発表はまだ先になるとのこと。
しかし、この悲惨な死からミツバチを守るためにも、いち早く手を打つべきかもしれません。
ミツバチの働きバチは雌と習ったけど違うのですか?
確かに働き蜂はメスですが、繁殖のためのオス蜂も存在します。基本オス蜂は交尾飛行の時以外巣の中で過ごしているのですが、あまりの猛暑で巣から出た結果外で大量死したということのようです。