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Credit: canva
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人間とゴールデン・レトリバーは「同じ遺伝子」を共有していた

2025.11.27 12:00:05 Thursday

英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究チームが調べたのは、ゴールデン・レトリバーの「行動」や「性格」を形づくる遺伝子です。

しつけのしやすさ、見知らぬ人への怖がり方、他の犬への攻撃性、エネルギー量。

それらを左右する遺伝子の一部が、実は人間の不安やうつ、知能といった心の特徴にも関わっていることがわかったのです。

研究の詳細は2025年11月24日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

Golden retriever and human behaviours are driven by same genes https://www.cam.ac.uk/research/news/golden-retriever-and-human-behaviours-are-driven-by-same-genes Golden retrievers and humans share ‘striking’ genetic similarities https://www.popsci.com/science/golden-retrievers-humans-share-genes/
GWAS for behavioral traits in golden retrievers identifies genes implicated in human temperament, mental health, and cognition https://doi.org/10.1073/pnas.2421757122

人間とゴールデン・レトリバーが同じ遺伝子を共有?

チームはまず、1300頭のゴールデン・レトリバーの遺伝情報(ゲノム)を解析。

同時に、飼い主に対して詳細なアンケートを行い、愛の行動や性格について73項目もの質問に答えてもらっています。

それらの回答は「しつけのしやすさ」「活動性」「見知らぬ人への恐怖」「他の犬への攻撃性」といった行動特性ごとにまとめられ、各犬にスコアが付けられました。

次に、血液サンプルから得られたゲノム全体を調べ、特定の行動特性を強く示す犬に共通して多くみられる遺伝子領域を調査。

その結果、しつけのしやすさやエネルギー量、見知らぬ人への恐怖、他の犬への攻撃性などと結びつく遺伝子がいくつも浮かび上がってきました。

ここからが本題です。

チームは、こうして見つかった「ゴールデン・レトリバーの行動遺伝子」を、人間の大規模な遺伝学研究のデータと照らし合わせました。

すると、同定された遺伝子のうち12個が、人間における不安、うつ、知能といった特性にも関わっていることが判明したのです。

たとえば、PTPN1という遺伝子は、ゴールデン・レトリバーでは「他の犬への攻撃性」と関連していました。

ところが人間では、同じ遺伝子が「うつ」や「知能」と関係していることが知られています。

また、他の犬を怖がるゴールデン・レトリバーで見つかった別の遺伝子は、人間において「恥ずかしい出来事をいつまでも引きずって悩み続ける傾向」や、「高い学業達成」と関連していました。

つまり、私たちが犬の「怖がり」や「キレやすさ」「物覚えの良さ」だと思っている特徴の一部は、同じ遺伝子セットが、人間では「不安になりやすさ」や「知能」といった形で現れている可能性があるのです。

研究責任者のエレノア・ラファン博士は、「人間とゴールデン・レトリバーが行動の遺伝的ルーツを共有している強い証拠だ」とコメントしています。

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