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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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ウガンダで勃発した「チンパンジーの10年戦争」、勝者に起こった現象とは?

2025.11.25 12:00:32 Tuesday

東アフリカ・ウガンダにあるキバレ国立公園で、チンパンジー同士による“10年戦争”が終結を迎えました。

長く続いた暴力的な衝突の結果、勝利した「ンゴゴ・チンパンジー」の集団には予想外の変化が訪れていました。

縄張りは22%拡大し、食糧は豊かになり、そして群れには“史上稀なレベルのベビーブーム”が到来していたのです。

研究の詳細は米ミシガン大学(University of Michigan)により、2025年11月17日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

Chimps that use lethal aggression to expand their territory gain reproductive advantages https://news.umich.edu/chimps-that-use-lethal-aggression-to-expand-their-territory-gain-reproductive-advantages/ A decade-long chimp war ended in a baby boom for the victors, scientists discover https://www.livescience.com/animals/land-mammals/a-decade-long-chimp-war-ended-in-a-baby-boom-for-the-victors-scientists-discover
Female fertility and infant survivorship increase following lethal intergroup aggression and territorial expansion in wild chimpanzees https://doi.org/10.1073/pnas.2524502122

古くから知られる「チンパンジー同士の戦争」

1998年から2008年にかけて、ウガンダ南西部のキバレ国立公園で、「ンゴゴ・チンパンジー」と称される群れは、隣接する複数の群れと激しい衝突を繰り返していました。

研究者が確認しただけでも、少なくとも21頭の隣接群のチンパンジーが殺害されています。

チンパンジー同士の“戦争”は古くから知られています。

1974年には著名な動物学者であるジェーン・グドールがタンザニア・ゴンベ国立公園で、2つに分裂した群れによる4年に及ぶ戦闘を記録しました。

しかし、なぜチンパンジーがそこまで大きなリスクを冒して戦い続けるのかについては、長らく議論が続いていました。

今回その謎に迫ったのが、ミシガン大学らの研究チームです。

彼らは30年以上にわたり蓄積された行動データをもとに、争いの背景と“戦後の変化”を精密に分析しました。

調査によると、10年にわたる戦闘の後、2009年にンゴゴの群れは隣接群の領域へと進出し、縄張りは約6.4平方キロ拡大しました。

これは全体のおよそ22%に相当する大規模な領土拡張です。

チームは当初、この戦争の結果として群れにどのような恩恵が生じたのか慎重に見極めようとしました。

なぜなら、縄張り拡大そのものが“生存上の利益”につながるかどうかは、証拠が乏しかったためです。

しかし、データを検証した結果、予想を上回る変化が明らかになりました。

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