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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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ウガンダで勃発した「チンパンジーの10年戦争」、勝者に起こった現象とは? (2/2)

2025.11.25 12:00:32 Tuesday

前ページ古くから知られる「チンパンジー同士の戦争」

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勝者に訪れた「空前のベビーブーム」

縄張り拡大の前後3年間で、ンゴゴ・チンパンジーの出生数と子どもの生存率は劇的に変化していました。

・拡大前の3年間:15頭の出生

・拡大後の3年間:37頭の出生

出生数は2倍以上に増え、研究者たちは「現場の観察時点から、明らかにベビーブームが起きていた」と述べています。

さらに驚くべきは、生存率の向上です。

・拡大前の死亡率:41%(3歳未満で死亡)

・拡大後の死亡率:8%

わずか数年で死亡率がここまで低下した例は、これまでの野生チンパンジー研究ではほとんど確認されていません。

なぜ、これほどまでに急激な改善が起きたのでしょうか?

研究者たちが導いた答えは、「資源の増加」「外敵の排除」の2つです。

まず、縄張りが広がったことで、母親となるメスたちはより多くの食糧にアクセスできるようになりました。

栄養状態が改善すれば、母親の体力は上がり、出産や育児の成功率も高まります。

次に、敵対する群れのオスが減ったことで「乳児殺し」の危険が減少しました。

チンパンジー社会では、隣接群のオスが他群れの赤ん坊を殺すことが主要な死亡原因のひとつです。

敵が減れば、その脅威も低下するというわけです。

チームは「この研究は、縄張り拡大と生殖成功の向上が直接結びつくことを示す最も強力な証拠だ」と述べています。

さらに専門家は、この研究が「人間の暴力」の進化的側面にも光を当てる可能性を指摘しています。

チンパンジーとボノボは、現生種の中で人間に最も近く、致死的暴力が共通祖先から受け継がれた可能性が示唆されているためです。

ただし研究者らは、人間とチンパンジーを単純に比較しないよう強調しています。

「人間は、他集団の個体と出会っても交流によって利益を得られる可能性があります。しかしチンパンジーのオスが隣群のオスと遭遇した場合、利益を得る唯一の方法は相手に損害を与えることです」と専門家は説明します。

現代社会では、資源をめぐる対立が残っているものの、戦争のコストはかつてないほど大きくなっています。

そのため研究者たちは「現代の人間社会では、多くの場合、戦争を始めることはもはや合理的ではない」と指摘しています。

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ウガンダで勃発した「チンパンジーの10年戦争」、勝者に起こった現象とは? (2/2)のコメント

ゲスト

成果でちゃうと批判はしにくいですよね、実際成果出てるわけですから。

ゲスト

一部に戦争が儲かるなんて信じてる人たちがいるけど、流通もインフラも破壊してヒトモノカネと経済の根幹にかかわるものがことごとく失われるのにそんなわけないからね

ゲスト

自分の利益は他人の不利益
他人の利益は自分の不利益
争いは永遠に無くならない

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