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※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

33億年前の岩石に史上最古の「生命の痕跡」を発見

2025.11.19 22:00:07 Wednesday

このほど、南アフリカで発見された33億年前の岩石から、史上最古となる生命活動の化学的な痕跡が見つかりました。

これまで科学者たちは、古代の岩石に残された炭素が生物由来なのか、あるいは非生物的な化学反応で作られたものなのかを確実に区別できずにいました。

しかし米カーネギー研究所(CIS)は今回、AIを使った新たな分析方法で、化石化した炭素の“化学パターン”から生命活動のサインを直接読み取ることに成功したのです。

研究の詳細は2025年11月17日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

Earliest Chemical Traces of Life on Earth Discovered in 3.3-Billion-Year-Old Rock https://www.sciencealert.com/earliest-chemical-traces-of-life-on-earth-discovered-in-3-3-billion-year-old-rock Chemical evidence of ancient life detected in 3.3-billion-year-old rocks https://carnegiescience.edu/chemical-evidence-ancient-life-detected-33-billion-year-old-rocks
Organic geochemical evidence for life in Archean rocks identified by pyrolysis–GC–MS and supervised machine learning https://doi.org/10.1073/pnas.2514534122

33億年前の岩石が語り始めた「生命のエコー」

今回、研究者たちが調べたのは、南アフリカ・ムプマランガ州にある「ヨセフスダール・チャート(Josefsdal Chert)」と呼ばれる堆積岩です。

年代は33億3000万年前とされ、約46億年ある地球史の中でも極めて古い時代の岩石に分類されます。

この岩石に閉じ込められた微量の炭素が、AIの解析によって「生命由来」と高い確度で判定されました。

チームは、微生物が残した“化学的な指紋”を抽出し、それらの特徴をAI(機械学習)アルゴリズムに学習させました。

この手法では、個々の分子そのものではなく、炭素が熱分解された際に生じる複雑な化学パターンを大量に収集し、それらの中にある「生物特有のゆらぎ」を読み取ります。

分析には、試料を加熱して有機物を細かい断片に分解し、その質量パターンを測定する「熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(Py-GC-MS)」が用いられました。

チームは、現生生物・化石・隕石・古代の堆積物など合計406点ものサンプルからデータを取得し、AIに「生物由来パターン」の見分け方を学ばせました。

その結果、モデルは90%以上という高い精度で生物・非生物を識別できるようになり、ついに33億年前の岩石に含まれる炭素に「生命の痕跡」があることを突き止めたのです。

また今回の研究では、南アフリカ産の約25億2000万年前、カナダ産の23億年前の岩石から、酸素を生み出す光合成の証拠も見つかりました。

これは光合成の出現を、従来より8億年以上早める可能性があります。

次ページ生命の誕生が33億年より前に遡る可能性も

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