古代マヤの研究室に残された「計算の下書き」
発見の舞台となったシュルトゥン遺跡は、「古典期マヤ」と呼ばれる西暦250~900年ごろに栄えた古代都市です。
研究対象となったのは、遺跡内の「建造物10K-2」と呼ばれる小さな部屋でした。
その壁には、日付、数字、計算などを記した50点以上の短い「マイクロテキスト」が、薄く描かれたり刻まれたりしていました。
完成した記念碑に彫られた文章とは異なり、これらは計算途中のメモや表に近いものです。
同チームのヘザー・ハースト氏は、その価値を「有名な歴史的文書の初期稿や、偉大な芸術作品のスケッチを発見するようなもの」と表現しています。
いわば、古代の学者が使っていたホワイトボードが、そのまま残されていたような状態です。
ただし、文字は長い年月でかすれていました。
そこでチームは、縮尺図、写真、スキャン画像を作成し、さらに画像をデジタル処理して文字を浮かび上がらせました。
その結果、11個のマヤ文字からなる一群を解読することに成功。
鍵となったのは、末尾に記された部分です。
そこには「かく語る」という意味の「che-he-na」に続き、「SAK-TAHN-wa-xi」と綴られた個人名が記されていました。
チームは、この名前をSak Tahn Waax、すなわち「白い胸のキツネ」と読み解きました。
古典期マヤの数学上の成果が、特定の個人に帰属すると確認された例は、現在知られている限りこれが初めてです。



























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