新鮮すぎてイカの色素細胞がヒラヒラ動く
一花亭たびじが提供する「活いかの踊り丼」は、食材の鮮度を追求した日本ならではのメニューです。
日本では古くから、シロウオやエビ、ホタルイカといった魚介類を生きたまま食べる「踊り食い」の文化がありました。
「活いかの踊り丼」は、お客さんの注文を聞いて、水槽で泳いでいるイカをすくい出すところから始まります。
イカは直ちにまな板の上でスピーディーに捌(さば)かれ、頭部から切り離した胴体は職人さんの見事な包丁さばきで、たちまちイカそうめんにされます。
これをイクラやワサビなどの薬味とともに酢飯の上に並べ、さらに頭から下のイカ身を丸ごとドン!と乗っけたら完成です。
ついさっきまで水槽で泳いでいたイカは、ものの1分ほどで丼飯へと変身します。
胴体を切り離したことで脳機能が破損したため、すでに死んでいることは確かです。
しかしあまりに鮮度が高いので、近づいて見てみると、イカの色素細胞がヒラヒラと動いているのがわかりますし、わずかに足をくねらせることもあります。
ただ真に驚くべき現象は、醤油をかけた瞬間に起こります。
醤油を上からタラ〜とかけると、死んだはずのイカが勢いよく足をバタつかせ始めるのです。
イカはすでに死んでおり、脳機能も正常に働いていないので、これは醤油にびっくりして、自らの意思で動かしているわけではありません。
この現象は科学的に言うと、醤油の塩分とイカの細胞との神経反応によって起こるのです。