画像
Credit: canva
psychology

知能が高い人ほど、道徳心のスコアが低くなっていた

2025.07.09 07:00:09 Wednesday

一般的には「頭のいい人ほど、正義感が強くてモラルも高い」と思われる傾向があります。

しかし最新の心理学研究が示したのはまったく逆の事実でした。

英国エディンバラ大学(The University of Edinburgh)の最新研究によると、認知能力が高い人ほど、道徳的価値観を全体的に弱く支持する傾向があることを明らかになったのです。

なぜ知能が高い人ほど、道徳的価値観を軽視する傾向があったのでしょうか?

研究の詳細は2025年5月28日付で学術誌『Intelligence』に掲載されています。

People with higher cognitive ability have weaker moral foundations, new study finds https://www.psypost.org/people-with-higher-cognitive-ability-have-weaker-moral-foundations-new-study-finds/
Higher cognitive ability linked to weaker moral foundations in UK adults https://doi.org/10.1016/j.intell.2025.101930

道徳心には「6つの基盤」がある

画像
Credit: canva

社会心理学者ジョナサン・ハイトらが提唱した「道徳基盤理論(Moral Foundations Theory)」では、人間の道徳判断は6つの“直感的な基盤”に支えられていると考えられています。

この理論によれば、私たちが「良いこと」「悪いこと」と判断するとき、以下のような6つの感覚が無意識に、あるいは直感的に働いているとされます。

① 思いやり/危害(Care / Harm)

他者の苦しみを減らし、守ろうとする気持ち。赤ちゃんや弱者を守る感情に由来します。

② 公平さ/不正(Fairness / Cheating)

ズルを許さず、正当な報酬や分配を求める感覚。「フェアプレー」や「正義」に通じます。

③ 忠誠/裏切り(Loyalty / Betrayal)

家族や仲間、国に対して一体感を持ち、裏切りを嫌う心。チームワークや愛国心に繋がります。

④ 権威/転覆(Authority / Subversion)

上位者や伝統への敬意を抱き、社会秩序を重んじる気持ち。規律や年功序列などの感覚と関連します。

⑤ 純潔/堕落(Sanctity / Degradation)

身体や心の“神聖さ”を守ろうとする意識。性的節度や清潔へのこだわり、不快感などが含まれます。

⑥ 自由/抑圧(Liberty / Oppression)

支配されることを嫌い、自由や平等を守ろうとする衝動。権力に対する反発や抗議の基盤です。

これらは「道徳心のセンサー」のようなものであり、文化や時代を超えて人類に共通する心理的傾向です。

政治的立場によっても傾向が分かれ、リベラルな人は「思いやり」や「公平さ」を強く支持し、保守的な人は6つすべてを重視する傾向があると指摘されています。

では、これらの直感的な道徳観と、「知能の高さ」とはどのような関係があるのでしょうか?

次ページ賢さは道徳心を鈍らせる?驚きの実験結果

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

心理学のニュースpsychology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!