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エドモントサウルスのミイラ/ Credit: commons.wikimedia
paleontology

約6600万年前の「草食恐竜のミイラ」を発見

2025.10.24 12:00:59 Friday

今日の私たちが想像する恐竜像は、その多くが骨の化石から再構成された「推測」に過ぎません。

しかし最近、米シカゴ大学(UChicago)の古生物学チームが発見したのは、「肉付き」や「皮膚のシワ」、さらには史上初の「ひづめ」まで保存された「恐竜ミイラ」でした。

発見の舞台は、アメリカ・ワイオミング州にある“ミイラ・ゾーン”と呼ばれる幅約10キロの特殊な地層。

ここから発掘されたのは、およそ6600万年前に絶滅した草食のカモノハシ竜「エドモントサウルス・アネクテンス」のミイラ標本です。

研究の詳細は2025年10月23日付で科学雑誌『journal Science』に掲載されています。

Dinosaur ‘mummies’ unlock secrets of their real-life appearance https://phys.org/news/2025-10-dinosaur-mummies-secrets-real-life.html#goog_rewarded Exceptionally Preserved ‘Dinosaur Mummies’ Reveal First-Known Reptile Hooves https://www.sciencealert.com/exceptionally-preserved-dinosaur-mummies-reveal-first-known-reptile-hooves
Duck-billed dinosaur fleshy midline and hooves reveal terrestrial clay-template “mummification” https://www.science.org/doi/10.1126/science.adw3536

「恐竜ミイラ」を発見、驚異の保存状態

今回の調査で発掘されたのは、2体のハドロサウルス科のエドモントサウルス・アネクテンス(Edmontosaurus annectens)。

1体目は推定2歳の若い個体、2体目は5〜8歳ほどの若い成体です。

この2体の恐竜ミイラには、従来の化石では考えられなかった「肉付きの全体像」が見事に保存されていました。

特に首から背中を通り尾の先端まで続く“とさか”や、腰から尾にかけて一列に並ぶ小さなトゲ、そして最大の驚きは、後ろ足の指先を覆う「ひづめ」です。

【実際のミイラの画像がこちら。これは通称「エド・ジュニア」と呼ばれる、約6600万年前に洪水に埋もれて化石化したカモノハシ恐竜です】

これまで「恐竜にひづめがあった」という確たる証拠は存在しませんでした。

しかし今回の標本では、馬のような平らな底をもつクサビ型のひづめが、3本の後ろ足の指先をぴったりと覆っていたことがCTスキャンなどで明らかになりました。

この発見は、恐竜のみならず、爬虫類としても世界初。年代的にも、地球上で最古級の「ひづめ」化石となります。

また皮膚の保存状態も驚くべきものでした。

体の下部や尾には大きな多角形の鱗が並び、胴体の大部分は1〜4ミリ程度の小石のような細かい鱗で覆われていました。

肋骨部分にはしわ模様も残っており、これによって「エドモントサウルスの皮膚は意外に薄かった」という新事実も判明しました。

このように、骨だけではわからなかった恐竜の「本当の姿」が、まるでタイムカプセルのように6600万年前から現代に届けられたのです。

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