子供時代の肥満と成人後の「性器の短さ」の関係
今回の調査は、2023年6月から2024年7月にかけて、ハノイ医科大学病院の男性科で生殖健康チェックを受けた、異性愛男性290人を対象に実施されました。
研究チームは、参加者それぞれに10歳時点の体型(BMI)を、幼少期の写真や記憶をもとに3Dモデルで再現し、小児期の「肥満」「標準」「やせ型」といった分類を行いました。
そして成人後の身長、ウエスト・ヒップ周囲径、両手の指の長さ、そして陰茎の長さ(弛緩時・牽引時※)や直径を詳細に測定。
(※ 弛緩時とは勃起していない通常状態のことで、牽引時は勃起していないものの、弛緩した性器をまっすぐに引っ張って伸ばしたときの長さ)
その結果、成人後のBMI(現在の体型)ではなく、「小児期の肥満状態」と「成人後の陰茎の長さ」には明確な関連があることが判明しました。
たとえば、
・小児期に肥満だった男性は、そうでなかった男性に比べて、弛緩時の長さが約1.9cm、牽引時の長さが約1.2cm短い傾向が認められました。
・一方で、成人後のBMIや肥満度と陰茎サイズには明確な相関はなく、ウエストやヒップの周囲径に弱い関連がある程度でした。
チームによれば、陰茎の発育は主に思春期の男性ホルモン(テストステロン)の働きによって進みます。
しかし小児期の肥満は、ホルモンバランスに影響を与え、テストステロンの分泌を抑制してしまうことが過去の研究で知られています。
その結果、性器の発育にも“見えないブレーキ”がかかる可能性があるのです。
また研究の対象者は「生殖医療の相談に来た男性」ではありますが、測定値そのものは一般集団と大きく乖離(かいり)しているわけではありません。
つまり、“将来の長さ”を左右する要素として、「子供時代の体型」は無視できないリスクファクターだと言えるのです。