行動できない原因を正しく知る
ダイエットや運動、勉強、仕事の新しいタスクなど、「やらなきゃ」と思っているのに、つい先延ばしにしたり、三日坊主で終わったりする。
これは多くの人が経験しています。
Hoover博士によれば、「行動できない原因」は複数あります。そのいくつかを見てみましょう。
1. フリーズ反応――「やろう」と思っても体が動かなくなる
ストレスやプレッシャーがかかったとき、私たちの体は「戦う」や「逃げる」といった反応だけでなく、「フリーズ(凍りつき)反応」と呼ばれる現象を起こすことがあります。
前者が交感神経系が過剰に活性化することが原因であるのに対し、後者は副交感神経が過剰に活性化することが原因です。
このフリーズ反応は緊張で体が固まって動けなくなったり、言葉が出なくなったりするもので、フリーズする状態です。
たとえば、発表の直前に声が出なくなったり、大事な仕事を前に何も手につかなくなってしまうケースが挙げられます。
これらはすべて「体と脳が自動的にブレーキをかけている」現象なのです。
意思が弱いせいではありません。
2. 助けを求められない・適切なサポートが得られていない
何か新しいことに挑戦するとき、「誰かに助けを求めるのはダメなこと」と感じていませんか?
博士は「建物を高く作るには足場が必要」という例えを使い、「周りのサポートは成功に不可欠」だと強調しています。
また、誰かに頼ること自体は素晴らしいですが、「どんなサポートが必要か」をはっきりさせ、それに合った人にお願いすることも大切です。
サポートには次のような種類があります。
- 具体的な作業の手助け
例:荷物を運んでもらう、資料作りを手伝ってもらう - 共感や励まし
例:話を聞いてもらう、励ましの言葉をかけてもらう - 専門的な知識や経験の共有
例:詳しい人からアドバイスをもらう - 問題の分析や解決策の提示
例:一緒に計画を立ててもらう
この例が示すように、課題を抱えて困っているとき、同僚や友人に手伝ってもらうことで行動に移しやすくなります。
逆に、「話を聞いてほしいだけ」のときに「すぐ解決策を出す人」に頼むと、モヤモヤが残ることもあります。
自分にとって本当に必要なサポートを明確にして、それに合った人に頼みましょう。
助けを借りることは、決して弱さではありません。
3. 意志力は“有限な資源”
「もっと頑張らなきゃ」と意志の力だけで乗り切ろうとすると、途中で力尽きてしまうことがあります。
博士は「意志力は脳の“やる気スイッチ”に関わる物質(ドーパミンなど)によって増減する、有限な資源」だと説明しています。
たくさんのことを同時に頑張りすぎると、「やる気の残高」が足りなくなり、どれも続かなくなるのです。
無理をせず、時には休んだり気分転換を挟んだりして、意志力を回復させることも大切です。
4. 最初のハードルが高すぎて挫折する――「不快ゾーン」を乗り越えるコツ
新しいことを始めると、最初は「できない」「うまくいかない」と感じる時期が必ずあります。
例えば「ギターの練習を始めたばかりの人が、指が思い通りに動かず音がぐちゃぐちゃになる」「英語を勉強し始めても全然聞き取れず、やる気がなくなる」などです。
こうした「不快な時間」が続くと、ほとんどの人は諦めてしまいます。
でも、上達するにはこの「下手な時期」を乗り越えることが必要です。
「最初はつらくて当たり前」「少しずつ成長することを楽しもう」と自分に言い聞かせるのがポイントです。