行動できない“心の壁”も説明できる
ここからは、心の持ち方や感じ方が影響する「行動できない理由」の4つを紹介します。
5. 感情にコントロールされてしまう
「今日は甘い物を食べない!」と決めていたのに、嫌なことがあった日にはついアイスを食べてしまう経験がありませんか?
実は、強いストレスや不安、怒りなどを感じると、脳の「考える部分(前頭前野)」が働きにくくなり、「感情を司る部分(大脳辺縁系)」に主導権が移ってしまいます。
だから気分が落ち込んだりイライラしたときは、理性より感情が優先されてしまい、計画通りの行動ができなくなるのです。
「今自分がどんな気持ちか」「何に反応しているのか」を意識して振り返ることで、気持ちをコントロールしやすくなります。
6. 変わりたいのに変わりたくない――「アンビバレンス(二重感情)」
「転職してもっと自由に働きたい」と思いながら、「新しい環境が怖い」「失敗したらどうしよう」と迷ってしまう。
このように、「やりたい気持ち」と「ためらう気持ち」が同時にある状態は誰にでも起きます。
これを心理学では「アンビバレンス(二重感情)」と呼びます。
やりたい気持ちもためらう気持ちも、どちらも自然なものです。
行動できない自分を責めず、「今の自分はどちらを大事にしているのか?」と素直に向き合うことが大切です。
7. 「~すべき」に縛られている
「親や先生、会社、世間が“こうすべき”だと言うから頑張る」という状況は、多くの人に当てはまります。
でも「本当にやりたいこと」ではなく「やるべきこと」に追われていると、だんだん続かなくなったり、苦しくなったりします。
そもそも「やりたい」けど「できない」のは、本当に「自分がやりたいと思っていること」でしょうか。
「これは自分の本心なのか?」「他人の価値観に流されていないか?」を見直してみることが、無理なく行動を続ける第一歩です。
8. 心の不調・メンタルヘルスの問題――うつなどが隠れていないか
「やる気が出ない」「何をしても楽しめない」「どうしても動けない」という状態が続くとき、単なるなまけや性格の問題と思い込んでいませんか?
博士は「うつ病などの心の病気が隠れている場合は少なくない」と指摘しています。
うつの主な症状には「気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」「集中できない」などがあり、これらは意思の問題ではなく、脳の働きが変化しているサインです。
また、不安障害やパニック障害、強迫性障害など他のメンタルヘルスの問題も、行動を大きく妨げることがあります。
「自分は怠け者だ」「努力が足りない」と責めすぎず、「もしかしたら心の健康に理由があるかもしれない」と一度立ち止まってみることも大切です。
必要なら専門家に相談するのも有効な一歩です。
このように、「やりたいのに動けない」理由は、“根性不足”や“性格の弱さ”ではなく、科学で説明できる脳や心の仕組み、そして環境や価値観の影響にあるかもしれません。
自分を責めず、まずは「なぜ動けないのか?」を知ることから始めましょう。