強制的に性転換、「デイビッド・ライマー事件」
1965年8月22日、カナダ人のデイビッド・ピーター・ライマーは男児としてこの世に生を受けました。
生後8ヶ月に、デイビッドは排尿時に痛みを訴えたため、病院で手術を受けたのですが、医療ミスにより陰部の大半を失ってしまいます。
デイビッドの両親は、心理学者で性科学者のジョン・マネーにより「女性として性転換手術をした方が、性的に成熟する可能性が高い」と説得されました。
その後、デイビッドは自らの意思とは関係なく手術を受け、「ブレンダ」という少女に生まれ変わったのです。
ブレンダとしてのその後の適応は、男性から女性への性転換の成功例として、当時の心理学会で話題となりました。
しかし、成長するにつれて彼は自分が少女ではないことに気づき、14歳のときに再びデイビッドへと戻ります。
彼はのち、同じような医療行為を防ぐため、自らの人生を書籍にして公表しました。
それでも彼の傷は癒えることなく、重度のうつ病に苦しみ、2004年5月5日に自殺、38歳の若さでこの世を去っています。