画像
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
space

月の裏側から持ち帰ったサンプルに「月面初の物質」を検出

2025.10.22 07:00:38 Wednesday

宇宙探査の歴史に、またひとつ驚きの発見が加わりました。

中国の月探査機嫦娥6号(じょうが6ごう」が月の裏側から持ち帰ったサンプルを分析した結果、これまで月面では一度も見つかったことのない物質が発見されたのです。

その正体は「水」を豊富に含む極めて脆(もろ)い隕石由来の物質。

地球上では滅多に残らないこの希少な物質が、なぜ月面で見つかったのでしょうか?

研究の詳細は2025年10月20日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

China Brought Something Unexpected Back From The Far Side of The Moon https://www.sciencealert.com/china-brought-something-unexpected-back-from-the-far-side-of-the-moon
Impactor relics of CI-like chondrites in Chang’e-6 lunar samples https://doi.org/10.1073/pnas.2501614122

月の裏側サンプルに潜んでいた「水の運び屋」

中国国家航天局(CNSA)の嫦娥6号が世界で初めて、月の裏側に位置する南極エイトケン盆地内の「アポロ・ベイスン」と呼ばれるクレーターからサンプルを持ち帰りました。

この地域は月面の約4分の1を覆う巨大な盆地で、太古の衝突の痕跡が集中しています。

回収されたサンプルには5000個以上の微小な破片が含まれており、研究者たちはこれらを一つひとつ分析。

特に着目したのは「カンラン石(オリビン)」と呼ばれる鉱物です。

オリビンは火山岩や隕石に多く含まれるため、衝突の痕跡や外来物質の証拠としても重要な手がかりとなります。

そして今回、月面サンプルから発見されたのは「CIコンドライト(イヴナ型炭素質隕石)」と呼ばれる炭素質隕石由来の微小な塵。

このCIコンドライトは、地球上で発見される隕石の1%未満という超レアな存在です。

特徴はとにかく「壊れやすい」こと。

スポンジのように多孔質で、全体重量の最大20%が水和鉱物として結びついた、いわば「水分の豊富な石」なのです。

地球では、大気圏に突入した時点でほとんどが崩れ去ってしまうため、まず残ることがありません。

それがなぜ、空気もない月面で保存されていたのでしょうか?

次ページなぜ月面で「水を含む隕石」が残ったのか

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

宇宙のニュースspace news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!