画像
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
space

史上初、互いに周回する「2つのブラックホール」の撮影に成功

2025.10.10 12:00:01 Friday

強烈な重力で何もかもを飲み込んでしまう天体、ブラックホール。

天文学者たちはこれまで、ブラックホール単体の姿を電波望遠鏡を駆使して捉えてきました。

しかし今回、フィンランド・トゥルク大学(University of Turku)は、史上初となるブラックホールのペアの観測に成功したのです。

研究の詳細は2025年10月9日付で科学雑誌『The Astrophysical Journal』に掲載されています。

Scientists capture an image of two black holes circling each other for the first time https://www.utu.fi/en/news/press-release/scientists-capture-an-image-of-two-black-holes-circling-each-other-for-the-first Groundbreaking image shows two black holes orbiting each other for first time https://www.livescience.com/space/black-holes/groundbreaking-image-shows-two-black-holes-orbiting-each-other-for-first-time
Identifying the Secondary Jet in the RadioAstron Image of OJ 287 https://doi.org/10.3847/1538-4357/ae057e

12年ごとに明滅する光源の正体とは?

今回の観測対象となったのは、地球から約50億光年彼方にある活動銀河核「OJ 287」です。

この天体が天文学者の注目を集める理由は、約12年ごとに“ものすごい明るさの大フレア”を繰り返すという、不思議な周期パターンにあります。

この周期的な明るさの変化は、まるで宇宙の灯台が光をパッと照らすように訪れ、100年以上も前から世界中の望遠鏡や写真乾板に記録されてきました。

では、なぜOJ 287は12年ごとに強烈な輝きを放つのでしょうか?

その謎に最初に迫ったのは、1980年代のフィンランド・トゥルク大学の若き天文学者たちでした。

彼らは「もし銀河核の中心にブラックホールが2つあって、それらが互いの周りを公転しているなら、接近のたびに周囲のガスがかき乱され、巨大な閃光が生まれるのでは?」と予測したのです。

このモデルでは、「主役」の超大質量ブラックホール(太陽の180億倍)と、その周りを回る「相棒」のやや小さいブラックホール(太陽の1.5億倍)が12年かけて壮大な軌道ダンスを繰り広げています。

実際、光度変化のタイミングは理論計算とピタリ一致し、最新の観測では予測どおりの“宇宙花火”も捉えられました。

けれども、ブラックホールは「真っ暗闇」です。

その本体を直接撮ることはできません。

そこで天文学者たちは、ブラックホールから噴き出す「ジェット」と呼ばれる超高速の粒子流を追いかけることで、その位置や動きを間接的に探る方法を編み出しました。

次ページ2つのブラックホールが見えた!

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

宇宙のニュースspace news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!