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スターキャッチャーが1.1kWのワイヤレス電力伝送に成功 / Credit:Star Catcher Industries, Inc.
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1.1kWのワイヤレス電力伝送に成功!DARPAの出力記録を破る

2025.11.24 11:30:04 Monday

ケーブルなどを使わずに電力を送る「ワイヤレス電力伝送」は、かつてはSFの中だけに存在する技術のように語られてきました。

しかし現実の科学はその想像を着実に追い越しており、今回アメリカの企業Star Catcher Industriesは新たな成果を発表しました。

同社はNASAのケネディ宇宙センターで、市販の太陽光パネルに対して1.1kWのレーザー送電を実現し、2025年にDARPAが達成した800Wの記録を上回りました

この成果はレーザーパワービーミング技術の進歩を象徴する出来事であり、宇宙利用を中心とした新しい電力インフラ構想を大きく前進させています。

Star Catcher breaks DARPA’s record for beaming power wirelessly https://newatlas.com/energy/star-catcher-power-beaming-record/ Record-Breaking Optical Power Beaming Proves Path to Scalable Power Grid for Space https://www.prnewswire.com/news-releases/record-breaking-optical-power-beaming-proves-path-to-scalable-power-grid-for-space-302603462.html

Star Catcherが1.1kWのレーザー送電に成功

ワイヤレス電力伝送とは、電気をや電波に変換して相手に送り、その光や電波を再び電力に戻す仕組みの技術を指します。

近年ではレーザー光を用いたレーザーパワービーミングが脚光を浴びており、ビームを細く集中させられることから、電力を狙った場所に正確に届けられる点が評価されています。

この技術の認知を一気に押し上げた出来事が、2025年5月にDARPAが達成した800W超の遠距離送電実験でした。

【8.6km先でポップコーンを作る】DARPAがワイヤレス電力伝送の新記録を樹立

DARPAはPOWERプログラムの中で、発生させたレーザー光を8.6km離れた地点へ照射し、受信側で得た電力を使ってポップコーンを作るというデモを成功させました。

この実験は距離と実用性の両面で大きな意味をもち、数キロメートル規模の距離で家電が動くほどの電力が送れたことを示した点で、光学送電の転換点になりました。

一方でレーザーから電気に戻す際のロスなど、まだ改善の余地があることも分かっており、レーザーパワービーミングは「長い距離を飛ばす技術」と「効率アップ」の両方を高めていく段階にあります。

そのような状況の中で登場したのが、Star Catcherが今回示した1.1kWのレーザー送電という成果です。

同社は市販の太陽光パネルをそのまま使用し、DARPAの記録を超える出力でパネルを発電させることに成功したのです。

DARPAが「どれだけ遠くへ送れるか」という距離の記録を打ち立てたのに対し、Star Catcherは「どれだけ大きな電力を実用的な形で受け取れるか」という出力性能に焦点を当てた報告でした。

レーザーパワービーミングが多方向から実用化に近づいていることがうかがえます。

では、Star Catcherの成果が注目されているのはなぜでしょうか。

次ページStar Catcherが目指す「宇宙でのワイヤレス電力伝送」

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