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Credit: canva
health

ミネラル摂取量が「うつ病・不安症」の発症リスクに関連していた

2025.11.24 17:00:17 Monday

もし、ふだん何気なく食べている食事の中に、心の健康に関わる“見えない鍵”が潜んでいたらどうでしょうか。

このほど、英国の大規模データベース「UKバイオバンク」に登録されている約20万人を最大13年間追跡した結果、食事中のミネラル摂取量とうつ病・不安症の発症リスクとのあいだに統計的な関連が存在することが、中国・西安交通大学(XJU)の研究チームにより報告されました。

特に鉄、マグネシウム、セレンの多い食生活は、時間の経過とともにうつ病の診断を受ける可能性が低い傾向と結びついていました。

反対に、カルシウムの摂取量が多いほど、うつ病や不安症の診断を受ける確率が高くなるようです。

研究の詳細は2025年9月11日付で科学雑誌『Journal of Affective Disorders』に掲載されています。

New study finds links between dietary mineral intake and mental health risk https://www.psypost.org/new-study-finds-links-between-dietary-mineral-intake-and-mental-health-risk/
Associations of dietary mineral intakes with the risk of six common mental disorders: A prospective cohort study https://doi.org/10.1016/j.jad.2025.120271

ミネラル分はなぜ大切なのか?

精神疾患は今や世界の深刻な健康問題であり、うつ病と不安症だけでも数億人が影響を受けています。

その一方で、「栄養とメンタルヘルスの関係」は昔から多くの研究者が関心を寄せてきたテーマです。

脳は、思考や感情を維持するために膨大なエネルギーと栄養素を必要とし、その中でもミネラルは、神経伝達物質の合成、細胞のエネルギー生産、神経細胞同士のコミュニケーションなど、生命活動の根本を支えています。

例えば鉄は、気分を調整する神経伝達物質の材料になり、マグネシウムは神経系の働きを安定させる役割があります。

また、亜鉛やセレンの不足が抑うつ症状や認知機能の低下と関連する報告もあります。

しかし従来の研究には「サンプル数が少ない」「観測期間が短い」「一時点の食習慣しか把握していない」といった問題があり、明確なパターンを捉えることは困難でした。

そこで研究チームは、これらの限界を踏まえて、より長期的で大規模なデータを用いた包括的な分析を実施。

UKバイオバンクに参加した約20万人を対象に、日常の食事記録を聞き取り、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、セレンなど12種類のミネラル摂取量の平均値を推定しました。

その後、13年間の健康記録を追跡し、うつ病、不安症、PTSD、統合失調症、双極性障害、自殺企図などの診断を新たに受けたかどうかを調べ、食事中のミネラル摂取量との関連を統計的に解析しました。

さらに年齢、性別、社会経済的状況、喫煙・飲酒習慣、BMI、既存の身体疾患など、多数の要因も考慮し、可能な限り正確な関連を洗い出そうと試みた点にも特徴があります。

次ページ明らかになった“意外な関連”

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