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Credit:ストックホルム県行政委員会
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ミミズを掘っていた男性が2万枚の中世の銀貨を発見

2025.10.16 17:00:57 Thursday

スウェーデンのストックホルム近郊で、人が釣り餌のミミズを掘っていたところ偶然にも中世の銀貨の大財宝を掘り当てました。

発見された銀貨と装飾品の総重量は約6キログラムにも達し、その中には銀貨が(多くは12世紀のもの)最大で約2万枚の可能性があるとされています。

これはスウェーデンの初期中世で最大級の一つと担当者は述べており、専門家たちを驚かせる「一生に一度」級の大発見となりました。

銀貨がまとまった形でこれほど大量に見つかるのは極めて珍しく、当時の歴史や経済をひもとく貴重な手がかりになると期待されています。

Stor silverskatt från medeltiden upptäckt i Stockholm https://www.lansstyrelsen.se/stockholm/om-oss/om-lansstyrelsen-stockholm/nyheter/nyheter---stockholm/2025-09-18-stor-silverskatt-fran-medeltiden-upptackt-i-stockholm.html

土の中から銀貨がザクザク!スウェーデン史上最大級の中世財宝発見

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Credit:ストックホルム県行政委員会

釣りが好きな方なら、庭先や川辺でエサ用のミミズを掘った経験が一度くらいはあるかもしれません。

スウェーデンに住むある人も、まさにその日常的な作業をしていただけでした。

ところが、何気なく土を掘っていたスコップが「ゴツン」と硬いものにぶつかったその瞬間、その人の日常は思いがけない方向へと転がり始めました。

まるで童話や映画のワンシーンのようですが、地中から現れたのは大量の銀貨や宝飾品だったのです。

こうした「埋蔵金発見」の夢物語は、昔話や漫画の中だけのことだと思われがちですが、今回はまさに本当の話でした。

しかし、この出来事が世界中でこれほど注目された理由は、単に「珍しいものが見つかった」というだけではありません。

この財宝の特別な価値を理解するには、スウェーデンの中世史について少し知っておく必要があります。

スウェーデンの歴史では、約12世紀(西暦1100年代)という時代は特殊で、ある重要な「空白」が存在していました。

この時期のスウェーデンの貨幣は記録が乏しく、銀貨は地金として量り売りのように使われていた可能性も指摘されています。

また、当時ドイツなどで発達したブラクテアート(極薄の片面打ち銀貨)の技術がスウェーデンにも伝わり、外国コインも流通していました。

そのため、この時代の銀貨は種類や出所が混在し、学者たちの間でも研究が進みにくい「謎の時代」になっていました。

これまでの発掘調査では、同時代の銀貨がほんの少しだけ見つかることはありましたが、まとまった数で発見されたケースはなく、考古学者たちはこの空白をなかなか埋められずにいました。

そこで今回、ミミズ掘りの最中に偶然にも大量の銀貨が発見されたことで、状況は大きく動きました。

なぜなら、この発見によって、約800年以上前のスウェーデンの人々が使っていた銀貨がどんなものであったかが、具体的に明らかになってくる可能性があるからです。

それにしても、なぜこれほどの大量の銀貨が地中深くに埋められていたのでしょうか?

考古学者たちはこれまで、「そんな大量の銀貨が地中から見つかるのは伝説や物語の中だけだろう」と半ば諦めていたのです。

一般的に、大量の銀貨が埋められている場合は、主にヴァイキング時代(8世紀〜11世紀ごろ)にまで遡ると考えられていました。

ヴァイキングは交易や略奪で獲得した財宝を地中に隠すことがあったため、その時代の埋蔵品は比較的多く見つかっています。

また、中世の後半になると貨幣経済(お金を使って商売する仕組み)が発達し、銀貨の流通量が増えます。

このため、中世初期(特に12世紀頃)という中途半端な時代に、これほどの大量の銀貨が一度に埋められるというのは非常に珍しく、考古学者の間では常識的には考えにくいことだったのです。

ところが今回の発見は、そうしたこれまでの常識を揺るがすものとなりました。

専門家たちは、この予想外の財宝を見て「これは早期中世の歴史に関する私たちの理解を変える重要な手がかりになるかもしれない」と期待を込めています。

もし本当にこの財宝が12世紀の人々によって意図的に地中に埋められたものだとしたら、いったい誰が、どんな理由でこんな大量の銀貨を土の中に隠す必要があったのでしょうか?

財産を隠す動機としては、戦乱からの避難、盗難防止、宗教的な奉納(神への捧げ物)などが考えられますが、現時点ではどれも確かなことは言えません。

この謎を明らかにすることこそが、次の調査や研究で挑むべきテーマとなるでしょう。

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