なぜ風は吹くのか?
地球に風が吹く原因は、1億5000万キロかなたの「太陽」にあります。
太陽が放つ光により大気が熱せられ、動きが変化するのです。
太陽光を最も強く受ける赤道では、大気が急激に熱せられて上昇します。
ぐんぐん上って限界まで達すると、上昇気流は北と南の二手に分かれます。
(一言メモ)
ちなみに、この「限界」とは圏界面のことで、対流圏と成層圏の間を指します。
温かい大気はどんどん空に上っていきますが、成層圏には紫外線を吸収する「オゾン層」があるので温度が高く、大気もそれ以上は上れません。
ですから、気象現象というのはすべて対流圏の内側で起こることです。
話を戻しましょう。
二手に分かれた風は移動するにつれて冷やされ、北南の緯度30度あたりで今度は吹き下ろしの下降気流となります。
下降気流は地上にぶつかることで再び南北に分かれますが、このうちの一方が赤道に戻ることで一つの循環ができます。
これが「ハドレー循環」です。
一方、太陽光をあまり受けない極地では、大気が冷えて強い下降気流が起きます。
風は高気圧(下降気流)から低気圧(上昇気流)の場所へと移動するので、極地の風は赤道方向に向かって吹き下ります。
すると、先ほどハドレー循環の下降気流で極地方向に上がってきた風と北南の緯度60度あたりでぶつかります。
地表付近でぶつかった風は上昇気流に転じ、また上空で二手に分かれます。
その結果、ハドレー循環とは別に2つの循環が生じます。
緯度30〜60度の範囲が「フェレル循環」、緯度60〜極地までが「極循環」です。
風の起こる仕組みは比較的シンプルですが、風の動きはもう少し複雑です。
その原因は地球の自転にあります。
地球は(地軸の北方向を正にして)右回転になっているので、南北に吹く風の向きも変わってしまいます。
この働きを「コリオリの力(転向力)」と呼びます。
下の図を見てください。
矢印はそれぞれ風の向きを表しており、赤線はハドレー循環で赤道方向に帰ってくる風を示します。
地球が自転していなければ南北方向にまっすぐ吹くのですが、コリオリの力によって北東の風に変わります。
これが「貿易風」です。
また、フェレル循環で極地方向に吹き上がる風も南西の風に変化します。
こちらが「偏西風」です。
他方で、極地の高圧域から吹き下す風は常に向きが変わりません(=恒常風)。
極地から吹く風は「極東風」と呼びます。
このように、地球上を吹く風はおもに、貿易風・偏西風・極東風の3つ(南北に分けると6つ)の組み合わせで成り立っています。
しかし、これらの風も地上の山や森、砂漠、そして海によって向きがさらに複雑に変わるのです。
それでは、こうした風の循環で気候はどのように変化するのでしょうか?