人間には心や脳だけで絶頂できる仕組みが生まれつき備わっている
私たち人間には性的絶頂(オルガスム)を経験する能力が備わっています。
通常の絶頂は性感帯に対する刺激によって生じる「ボトムアップ」型のものとなっています。
つまり性感帯への刺激が脳に上がって絶頂を起こさせる、下側から訪れる絶頂です。
しかし夢精に代表されるように、人間は夢の中でも絶頂を迎えることが知られています。
この場合、性感帯への物理的な刺激なしに心だけで(脳だけで)絶頂が起こります。
性感帯を刺激する「ボトムアップ」型の絶頂に対して、脳だけで行う絶頂は「トップダウン」型と定義することが可能です。
この事実は、人間は性感帯への刺激を必要とせずに、脳単独で絶頂できることを示します。
しかし「夢精」の言葉にあるように、物理的刺激をともなわない絶頂の多くは夢の中で発生するものであり、意識のある状態で起こることは極めてまれです。
そのため多くの人々は、目覚めた状態で脳だけで絶頂するという体験をしないまま、一生を終わることになります。
一方、ごく一部の限られた人々は、目覚めた状態でも脳だけで絶頂することが可能であると述べています。
また過去には、重度の麻痺によって脳と体の接続が立たれた人々において、物理的な刺激なしに、覚せい時の性的絶頂を感じたケースも報告されています。
しかし彼らの言う絶頂が通常の絶頂と生理学的にも同じであるかは、詳しく調べられていません。
これまで行われた研究の多くは、アンケートによる調査で主観的な意見をまとめたものに過ぎず、客観的なデータは不足していました。
そこで今回、カレル大学の研究者たちはスペインの高等心理学研究所と共同で、10年に渡るヨガとタントラの瞑想修練により自在に(いつでも望む時間だけ)オルガスムを操れるという33歳の女性(仮称:サラ)を対象にした調査を行うことにしました。
サラが言うことは本当なのか、そして本当だとしても物理的刺激なしに操れる絶頂は、通常の絶頂と同じなのでしょうか?